(side 黒子)
 口に出さなくたって、見ているだけで分かりました。水城くんは、黄瀬くんが好きなのだと。
 僕は生まれてこの方恋だなんてした事が無いのですが、その恋愛が普通では無いことは分かりました。いえ、恋愛の形など人それぞれなので、普通ではないとは思っていますが否定なんかしません。それはそれでいいかと思っています。
 確かに世間体を考えたら不純な恋愛だと言われるかもしれません。ですが二人の恋心は、最近の付き合ってすぐ別れたりする軽い気持ちよりずっとずっと純粋なものに見えます。本当に、心から、好きなんです。
 しかし、まさか協力をするとは思ってもみなかったです。色恋沙汰に巻き込まれるのはごめんなので、普段は口出し一つしない僕がまさか自ら動くとは。

 それから、胸の中に沸き上がる変な感覚が消えません。
 自分で自分に感嘆符を浮かべて、一つの結論に至りました。
 どうやら僕は、まだ協力する気でいるみたいです。もう何も無いと言うならそれでいいのですが、どうもそうはいかないみたいですし。
 二人とも、自分を抑え付けてるみたいなんです。特に水城くんは酷い。いつポロッと出てしまうかも分からない募る想いを、無理矢理抑えて抑えて過ごしているように見えるんです。
 そんなの、いつか壊れてしまう。

 この前は嘘を吐いて、まるで初めて水城くんと会ったかのような反応をとりましたが、実を言うと、何度目かの委員会の時から君達の気持ちに気付いていました。
 まず、お互いを見る目が違う。黄瀬くんは愛しそうな、水城くんは切なそうな視線を向けているんです。気付きますよそりゃあね。
 そこまで気にしなくてもいいのではと思うのですが、きっと彼は今の関係を崩すことを恐れているのでしょう。今の水城くんは、もし望んだものが手に入っても、すぐに手放してしまう(黄瀬くんはきっとそんな事しないでしょうけど)。
 でも悪い方に関係を崩してしまいそうで正直不安です。

 ああ、いつか彼に言いたいことがあります。がつんと一発。それまで温めておくことにしましょうか。

 なんて、僕らしくも無いことを並べてみました。
やっぱり、変ですかね?

0723


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