ふと考える。
 もし俺の気持ちが涼太にバレたら。そして、拒絶されたら。俺は一体どうなるのだろうか。涼太は、どうするのだろうか。
 終わりなく悶々と悩んでは、解決法も見付けれないままずるずると引き摺る。そしてこれは何度目だろうかと、またループに嵌まる自分に言う。
 独り占めしたい。ずっと傍にいたい。俺だけを見ていてほしい。涼太には、男のくせに隣でこんな汚い考えを続けている俺を知られたくない。

 こんなことならいっその事……。
 頭を過る一つの考え。
 それが一番傷付ける道であることは、よく理解している。俺が今まで散々逃げてきた気不味さをつれてくる行為だということも。
 しかしそれ以外に方法が浮かばない。畜生ポンコツめ。
 けどそうすればきっと、制御が効かなくなるという心配も無くなるし、あの変な噂も消えると思う。そう信じたい。

 これが今の俺が出来る最善策なんじゃないか。
 終わらせてしまえばどちらも苦しむ必要はなくなるんだ。
 痛いのなんてはじめのうち。暫くしたら忘れ去って、もう戻れなくなる。
 これでいいじゃないか。問題無いさ。
 大丈夫、後悔なんてしない、絶対に。

 ごめんな、こんな事しか出来なくて。でもお前の有望な未来を壊したくないんだ。
 俺なんかどうなったっていいから。涼太のファンから後ろ指さされること間違い無しだろうけど、そんなの別に構わない。俺のことは好きに言えばいい。
 どうせあと一年なんだ。今の状態で我慢するよりずっとずっとましだろう。
 俺はこの気持ちを隠して、君に背を向けよう。
 最低な自分を演じてみせる。

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