『ん、っぁ……』

 真っ暗な部屋。窓から入る月光以外はどこからも光はなく、じめっとした床には天井から落ちた水滴が跳ねる。
 寒いのか、暑いのか、感覚が麻痺しきってしまい何が何だかわからない。
 取り敢えず今自らの口に入っているものは温かい、それだけは名前は認識していた。
 ゆっくりと離れていく顔。くすぐったかった髪の毛も共にいなくなる。
 はぁと肩で息をしている名前の恍惚とした顔を余裕の表情で眺めているシュウは、彼女の頬をするりと撫ぜた。

「名前、可愛い」

 再び口付けを交わし、舌を絡め合う。
 三日月だけが輝き、そんな二人を見ている。してはいけないことをしているようで、名前は胸を高鳴らせた。
 シュウの唇はやがて首を伝い胸元へ降りる。そしてそこに、ちくりと赤い痕を残した。
 纏われた白いワンピースは汚れ一つ無く、さらりとシュウの手を迎える。
 するすると手が動く度、幾度となく名前の身体は跳ねる。

「愛してる……愛してるよ」
『私も、シュウを愛してる』

 呪文の様に唱えられ続ける言葉は、二人の脳に、心に、体躯に、じわりじわりと染み込んでいく。
 シュウは名前の身体を抱き締めた。当然のように名前も抱き締める。


 少年は、そんな懐かしい夢を、見ていた気がした。
 誰だっけ? と頭を傾げるふりをして、少し笑みを溢した少年は、サッカーボールと共に森の中へと消えていった。


裏まではいってません…よ…。
120104



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