「ねぇ、せーんぱい」
にこりと笑う顔からはなんだか悪意しか感じない。大事なことだ、悪意と寒気しか感じない。
じりじりと壁に追い詰められ、気付いたら顔の横には狩屋の腕が。
待ちなさい、ここは学校なんだよ。
『か、かか狩屋君ちょっと近くないかな?』
「気のせいじゃないですか」
『そうだよね気のせいだよねってんなわけあるか!!』
こんなに接近して気のせいで終わらせられる人がいたら凄いと思うよ狩屋。だって目と鼻の先にいるんだから。
とにかくこれ以上は本気で危ない。必死に狩屋の胸を押し返そうとするが、全く動かない。
え…この細い身体のどこにそんな力が……。
「苗字先輩、今の状況理解してますよね」
『でもなんでこうなったのかが理解できないんだよ狩屋君』
早口で捲し立てるように言うと、狩屋は盛大に溜め息を吐いた。
今溜め息吐きたいのはこっちなんですけどね!!
その瞬間、首に何かがかさかさ当たりくすぐったくなる。
耳元で聞こえた声に、当たってるものが狩屋の髪の毛なんだとわかった。
「先輩、最近構ってくれないじゃないですか」
『んっ』
「俺寂しかったんですよ?」
『や、め……っ!』
耳を噛まれて、次いでゆるりと舐められる。
こいつはっ、私が耳が弱いのを良いことに……!
どうしよう、段々力が抜けてきた。
せめてもの抗いのために、霧野とかに嫉妬? と問いかけてみたら、今まで余裕だった狩屋の顔が面白いくらい赤く染まった。
「……悪いですか」
さすが私の後輩。可愛いな畜生。
そっぽを向いて拗ねる狩屋に、完全に油断していた。
股を割って狩屋の足が挟まる。あ、やばい。
「だから、構ってくれますよね?」
狩屋はニヤリと笑って、私の首筋を舐めた。
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