赤ちゃんのころから一緒にいる私の幼馴染みは、所謂ハイブリッドだった。父親は元アイドル、母親は元女優。何が凄いって、そのどちらもが誰もが知っている超大物なこと。そんな二人の間に産まれたハイブリッド幼馴染みは、多分物心ついた頃からアイドルを目指していた。本人の意思なのかそうなるように仕向けられたかは不明ではあるが、それは置いておこう。
対して私はごく一般的なサラリーマンの父親と主婦の母親のもとに産まれた一般人。何故そんな一般人が芸能一家の子どもと幼馴染みかというと、母が大物女優と親友だからである。小学生高学年くらいになると一体どこの漫画の世界だよとその事実を疑ったこともあった。そんなこんなで二人の凄さを直で見ていたことは、芸能関係の仕事に憧れを抱かせるには充分だった。まあ夢のまた夢だ、と憧れでとどめていたけれど。
中学二年生の時、知らぬ間に親によりアイドルオーディションに応募された。書類選考を通過した通知が届いた時は、何だこれはと首を傾げたのを覚えている。「ごっめーん私が出しちゃった」と語尾に星が見える母の言葉を聞き、おいおいおい何勝手なことしてくれたんだと嘆いた。一日くらい。短いとか言うな。良くしてくれた幼馴染みの両親が芸能人であったことから、アイドルというものに多少の憧れもあったのだ。
当然本格的な練習も何もしてないど素人の私がほいほいと合格などできる筈がなく、途中で落ちてしまった。まあ仕方ないことだ。