ホール一杯に響く、割れんばかりの大歓声。流れるリズムに合わせて七色に揺れるサイリウム。
私はこの景色が大好きだ。
私達の紡ぐ音楽に、世界に、ここにいる誰もが愛を注いでくれている。共鳴して、1つになって、キラキラした満開の笑顔を咲かせて。無限大の夢と愛だけで構成された景色。
そんな、アイドルが最も輝き、アイドルを最も輝かせる最高のステージ。一度体験してしまえば、もう病みつきになってしまうような快感だった。終わったあとは、一歩も動けないくらいに疲れ果ててしまうけれど、それを遥かに凌駕する感動がそこにはあった。
例えば所属する事務所が小さくても。隣に並ぶメンバーの仲が悪くても。これが、この仲間でする最後のライブでも。この時間だけら、そんなことは関係無かった。自分達が何の為にここに立っているのか。それさえ共有出来て、この笑顔を感動を一緒に、同じように味わうことが出来れば。
――そう。大好きだった、筈なのに。
突然目の前が七色から真っ白に変わり、スイッチが全てオフにされたかのように、全身から力が抜けていった。声も出ない。笑うことはおろか、立つことも出来ない。その音が、声が、人の目が、私の全てを壊していく。もう嫌だ、やめて、これ以上は受け止めきれない、これで終わりなんて嫌だ、嫌だ嫌だ。
心が叫んでいる。ファンの皆も――リーダーも悲しそうに叫んでいる。
その景色が頭にこびり付いて、その日から私は歌うことが出来なくなった。
△▽