訓練開始まで5分を切った。演習場にはAペアとDペアだけが残り、他は別室で待機。戦闘の様子をモニターで観察することになっている。
 静かになった空間で、私達は緊張をまぎらわそうと見取図を片手に言葉を交わしていた。

「は〜爆豪くんの顔怖かったねぇ。人ってあんな顔も出来るんだ」
『そうあんなのは出来ないと思うけれど、確かにヒーローらしからぬ顔ではあったわね』
「そうそう! なんかもう全身から何かが迸ってる感じだったし」

 分かる分かる。どうやら先の爆豪くんについて、麗日さんも同じことを思っていたようだ。彼には悪いけれど、あんな顔を小さい子供が見たら確実に泣く。

「でも相澤先生と違って罰とか無いみたいで安心したよ」
『ふ、普通はあんな罰思いつかないと思うわ……思いっきり騙されちゃったし』

 先日のあっけらかんと言った相澤先生の顔が頭に浮かんだ。まさかあのオールマイトがあんな顔でそんなことを言い出す筈がない。
 あの人もプロ、なんとイレイザーヘッドだったのだが、爆豪くんとはまた違う意味でヒーローっぽくなかったというのが素直な感想だ。でも、誰にでも優しいことや、全てにおいて模範的であることがヒーローの定義ではないものね。
 ここまで来て、一度も言葉を発していない緑谷くんが気になり2人で振り向いた。

『み、緑谷くん?』
「大丈夫!? 安心してないね!?」
「は、ははは……」





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