魔神が生まれた日
「どうする。携帯は圏外、暗さと路面状況からして進んでいるのは嘗ての地下鉄路線だ」
『貴方こそ。麻布って言っていたもの、ゲットーに出るでしょうね』
「なんだ分かってるじゃないか。俺はさっきのテロリストが置いていった通信機を土産に、軍に保護を頼むつもりだ」
ルルーシュの手には、いつの間に抜き取ったのか、確かに通信機が握られていた。抜かりのないことだ。
『私、は』
驚き続きで忘れかけていた目的を思い出す。
背後に座る機械装置の中身を知るまでは帰れない。彼女であるならば、真に軍に追われているのは彼女であるのだから。この機会、逃すわけにはいかない。
結局ルルーシュがした問いに答えることなく、口を閉じた。
「なあ、訊いてもいいか」
『……』
「無言は肯定と捉えるぞ。お前はいつからここにいたんだ」
訊ねる声色は優しく、どこか気遣うような感じさえする。
『貴方の来る2分程前に足を踏み入れたばかりよ。別に捕まってなんかない』
一段と大きく跳ねた。
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