草摩月子
透達と同学年。イタチ憑き。
草摩の外の人間として生まれたが、慊人により中へ入れられ傍で暮らすことに。(結果的に)遅れてきたお前は仲間外れだ、十二支よりも下の存在であるお前は本来ここにはいない、でも優しい神様はお前の言葉を聞いてあげる、ただしお前には絆を守り続ける義務がある、絆が解けてしまったら死んでしまうよ、と言われ続ける。
イタチはお人好し。人に譲るなんて馬鹿のすること。牛よりも馬鹿。十二支でもないのに恥ずかしげもなくよくもここで笑えることだ。対等だとでも思っているのか。
幼い頃は、そんな劣等感から十二支に頭が上がらない状態だった。何故私はここにいるんだろう。何故”私”はこの人達より下なんだろう。
でもある日、由希に救われる。慊人の遊び相手として傍にいさせられた由希と接触することが何度かあった。会いに行く時は紙で顔を隠している。私は皆に尽くさないといけない。皆よりずっとずっと劣った存在だから。

「それは義務なの? 劣っているから、僕に優しくしてくれるの?」
「君が優しくしてくれると、僕は嬉しくなる。傍にいてくれると、心が温かくなる」
「君が何であろうときっと関係ない。その優しさは君自身なんでしょ?」

イタチだからって、十二支の人達を憎んだりなんかしない。私は、そうしなければならないから人に優しくしているんじゃない。誰かに尽くしているんじゃない。優しくしたいからしてる。それだけなんだ。例え誰にも感謝されなくたって、罵られたって、無碍にされたっていい。ただ笑っていてほしいだけ。

ある日慊人に黙って由希を外へ連れ出す。この時間はいないはずだから、と。でもバレて連れ戻され、私が嫌がる由希を無理やり連れ出したと嘘をつく。慊人大暴れ、由希はまた閉じ込められた。

『ごめん、ごめんね。私のせいで由希、もっと酷いことを、ごめんね。もう会えない』

自分が死なないために、みんなを縛り付けているのかもしれない。私が生きているから、みんなが囚われ続けているのかもしれない。その気持ちだけは消えないのに。私じゃ由希を救えない。根底にある想い。

由希が月子を避けるのは、助けられなかった自分への憤り。紙で隠していたが、何となく月子だと分かっていた。
辛いのに助けてと言ってくれない月子へ段々と行き場の無い思いが募る。
「なんで、辛いなら辛いって言ってよ。助けてって、言ってよ。」
『そしたらまた、また繰り返すじゃない!』

イタチ
自分は後でいい、と皆に順番を譲っていたら十二支に入れなくなってしまった。神様に懇願し、ついたちの名を貰った。宴会にも参加。
「神様、我儘を聞いてもらい、入れる筈のない宴会に招いてもらい、これ以上を望むなど出来ません」
「ならば神様、この絆が解けぬよう私が傍で見守りましょう。神様が私に優しさをくださったように、私もそれに尽しましょう。それが私の絆です。果たせなかったのなら、永遠に滅んでも構いやしない」

『きっと死んでしまった方がいい。その方が、皆喜んでくれる』
『私だって、私だって、「普通」の女の子に生まれたかった』
『なんでもない家庭で、なんでもない環境で、誰かを好きになって、誰かに愛されたかった』
『由希に、笑いかけてもらえる本田さんが、羨ましかった。妬ましかった。なんで私は、なんで、』
『なんでこんなに、中途半端なまま』
『何もしてあげられない』

○「僕がどれだけ悲しかったか、よく知っている“あいつ”に聞いてみるといいよ」
『ゆ……慊人っ!』
返事もなく
『そろそろ行った方がいいんじゃないの。きっと紫呉達も心配してる』
「……そうだね」
「そうだ……月子。勘違い、しないでね」
『っ』

○「透くんも是非来るといい!」
「月子、君も来たまえ!」
『何の権限があって私に命令してんのよ』
「何、君には拒否権などない。分かっているだろう」
『……はいはい、もとよりあんた達に逆らえやしないわ。分かってる』
「っ、兄さ、」
「何を言っているんだい?」
『は?』
「それは君がイタチだからでも、君であるからでもないよ」
由希「!」
『……綾女』
「ボクが、ボクだからさ!」
『……』
「……」
『ふっ……ああハイハイ、そりゃそうね』
笑顔にさせる兄が羨ましい




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