「………」
「………」
「…あの、ぼくに何か用でも?」
「………」
「何も無いのであればそこ退いて貰えませんか。承太郎さんみたいなでかい人が道のド真ん中に立っていると通れなくて非常に困るんですが」
「…急いでいるのか」
「ええ、それはもう。早くしないとこの暑さでせっかく買ったアイスバーが溶けてしまうので」
「アイスバー…」
「わかったらとっとと退いて下さい」
「…なまえにやるのか、そのアイスバー」
「なッ。べ、別にこのアイスバーを誰に振る舞おうがそれはぼくの勝手でしょう!」
「露伴先生はなまえと付き合っているみたいだが」
「…それがどうかしましたか」
「どういう心構えでなまえと交際をしているんだ?」
「は?」
「まさか生半可な気持ちで付き合ってるんじゃねぇよな」
「何の話をしているのかさっぱりわからないんですが。というか何でぼくが貴方にそんな事を言われなくちゃならないんだ…ッ」
「そこん所どうなんだ。先生」
「ぼくはぼくなりになまえを想って真剣に付き合っているつもりですッ。大体、彼女のご両親にならともかく承太郎さんにはそんな事関係無いでしょう!?」
「関係あるぜ」
「はぁ!?」
「…俺だってなまえが好きだ」
「はああああああ!!!!?アンタやっぱりなまえの事狙ってたんじゃないか!くううう…ッ、ぼくの予想は間違っていなかった…ッ」
「おい、何か勘違いしているようだが俺の好意はそういうのじゃねえ」
「う、嘘をつくなッ!そんなツラ下げて頭の中ではなまえを好き勝手犯したんでしょう!?そうなんでしょう!?一体何回ぼくのなまえに中だし生セックスをしたんだ、一体何回…ッ!うわああああッ!」
「とりあえず落ち着け、先生」
「突然のライバル出現でぼくのガラスのメンタルが粉々に…。くそ…ッ、う、うぅ」
「…まさか泣いてんのか」
「な、泣いてなんか…ッ。…グスッ…」
「あー、何だ。その、泣かせるつもりは無かったんだが」
「…確かになまえは超絶可愛い。その可愛さは罪だ。その可愛さ故に人が狂うのもわかる。ずっと天使だと思っていたがもしやなまえは人を惑わすリリムなのでは無いだろうか。…ぐう、悪魔っこ最高」
「…まあ確かになまえは可愛いとは思うが」
「ほら見た事か!貴方もなまえに人生を狂わされたんでしょう?悪魔っこなまえにそそのかされた一人なんでしょう!?」
「いや…。何て言うか、アザラシと近しい可愛さというか」
「…アザラシ…?」
「赤ちゃんアザラシだ」
「…すいません、言っている意味がよくわかりません」
「白くて小さくてふわふわ。丸い瞳が可愛い」
「え?赤ちゃんアザラシの話ですよね?」
「ああ、赤ちゃんアザラシとなまえの話だぜ」
「…つまり、何か?承太郎さんにはなまえと赤ちゃんアザラシは同等の可愛さだと」
「そうだな。似ていると思う」
「馬鹿にしてるんですか」
「褒めてるんだが」
「く…ッ、自分はシロクマみたいな癖に…ッ」
「……シロクマ……」
「今のは断じて褒めてません。嬉しそうな顔しないで下さい。」
「……。…話は戻るがなまえを見ていると幼い娘の事を思い出す。だからなまえに抱いている好意はどちらかというと家族愛のような物だ。先生の心配するような好意じゃない」
「む、娘…ッ!?アンタといいクソッタレといい、どうしてどいつもこいつも近親相姦プレイをしたがるんだ…ッ。この変態!」
「変態…」
「敢えてぼくも言わせて貰いますけどね。ぼくの彼女であるなまえにちょっかいを出すのはやめて頂きたい。例え貴方にはそのつもりが無くても彼女の周りをぼく以外の好意を持った人間がうろちょろするのは不愉快以外の何物でも無いんでね」
「…そうか」
「イルカやヒトデがどうとか下らない事で連絡をするのももうやめて下さい」
「…イルカやヒトデが下らない…?」
「大体、人の彼女にイルカなんかのキーホルダーをプレゼントするのもどうかと思います」
「イルカ"なんか"…?おい、先生。それ以上海の仲間たちを馬鹿にするんなら先生だろうと許さねぇ」
「ハァ〜?馬鹿にはしてませんよ。ただ興味の無い人間からしたらイルカもヒトデもどうでもいい存在ってだけで別に馬鹿にはしてな」
スタープラチナザワールド






























「露伴先生その顔どうしたんですか?転んだの?」
「……シロクマに襲われた……」
「シロクマ…?水族館にでも行ったんですか?」
「…なまえ、ちょっときゅう〜って鳴いてみてくれないか」
「え?」
「いいから」
「きゅう〜」
「くぅ…ッ、こんな可愛い赤ちゃんアザラシがいて堪るか…ッ!」
「アザラシ?やっぱり水族館行ってたんですか?」
「(くそ、あの男のせいでアイスバーも溶けて無駄だ…ッ。なまえがアイスバーを咥える姿を見ようと計画していたのにくそ…っ)」
「露伴先生、手当してあげるからこっち来て下さい〜」
「……ん」
「うわあ、此処切れてます。痛そう。痛いの痛いの飛んでいけ〜」
「……(キュン)…なまえ、こっちも痛い」
「はーい、今してあげますからね〜」



20150808



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