※由花子妹夢主でヤンデレ。


中々どうして姉妹だというのにこんなに彼女たちは似つかわしくないのだろうか。個性的、という括りでは抑えきれないような姉を持っている割に妹である彼女は極々平凡である。まあそもそもあんな姉に似て貰っても困るが。

山岸由花子が母親の胎内の中の物を全て奪って生まれてきたのなら、後から生まれたなまえがこれだけ没個性なのも納得出来る。比喩で言ったつもりだがあの女なら本当に母親の胎内の物を全て奪いかねないと思う。


「君が思うよりも君は案外魅力的だと思うぜ?」

そう言えばずっと伏せられていた瞳がはっと見開かれてからすぐにまた伏せられた。

「私…お姉ちゃんと違って目立たないし、綺麗でも何でもないし…」

消え失せそうな声でぽつりと呟いたなまえの言葉はそのまま空間へと消えていく。一言で言うならば山岸なまえは実に惜しい。見た目は悪くない、どちらかと言えばやや平均より上といった所だろうが何せその内向的な性格が災いしてか彼女の魅力を知る得る者は少ない。姉の由花子はあの見た目であの中身。まあある意味完成系だが彼女は。未だ幼さを残した少女の身体つきも含めて色んな部分が未完成ななまえはえらくぼくを心酔させた。未完成な部分が想像の余地を残して、結果として其れはとてもぼくのリビドーを掻き立てる事となった。

知りたい、彼女の事を、なまえの事を。そうやって彼女の全てを自分の物としてしまいたい。それが歪んだ感情である事は自分自身が一番よく理解している。自覚があっての感情、今更修正する気も無い。

それからはなまえを軸とした毎日を送り、彼女が行く先々へ先回りをして偶然を装い接触しては仲を深めた。由花子が康一くんと会っている際を狙って彼女の自宅へと赴いてなまえの様子を一方的に伺い見る事もあったし、自らのチートな能力を駆使して学校生活を覗き見る事だってあった。その甲斐あってぼくはなまえの考えや思想を全て理解出来るようになったし、それはつまり彼女の良き理解者としての存在を確立して尚且つとびきりの信頼を得る事に繋がったのである。

しかしながらぼくは彼女にとって良き理解者、相談者という存在になりたかった訳では無い。そんな物になった所で只の保護者と何ら変わるまい。もどかしい気持ちに心を磨り減らしていた最中、ぼくはなまえの一方的な好意を察する事となる。好意を向けられていたのは自分では無く、あの東方仗助であった。元々忌むべき存在だとは思っていたがこの事実はその感情を更に助長させた。心を掻き毟るような焦燥感に駆られて益々醜い感情が自分の中で融け始める。さあ、どうする、どうしたらいい?

そしてぼくは東方仗助という存在を利用する考えと至る。なまえに東方仗助への好意を確認すると思ったよりも彼女はあっさりと自分の気持ちをぼくへと吐露した。簡単に心の内側を見せたのはぼくへの信頼度の高さからだろうか。なまえにばれぬ様にほくそ笑みながら彼女の声へと耳を傾ける。東方仗助は好意の対象であるが、如何にしてあの男と距離を縮めれば良いのかわからない、となまえは思い惑った様に口を開いた。嬉しそうな表情も思い詰める表情も全てあの男が理由かと思うとこれ以上無い位に虫唾が走る。その表情一つ一つすらも全て自分の物にしたいというのに。



「何ならぼくが協力してやろうか?」

優しく取り繕った言葉は糸だ。気付かれぬ様にそっと罠を掛けてなまえが落ちてくるのを待つ様は蜘蛛の様だと思った。ばれてはならない、そこに罠がある事を知られてはならない。そうやってなまえは張り巡らされた糸へと落ちた。しかし落ちるだけでは駄目なのだ。彼女にはもう少し藻掻いて貰わねばなるまい。

まず一つ、東方仗助は女に不自由しない男である事。これは事実だ。ではこの男を攻略するにはどの様にしたら良いのか?それは己の経験を積む事である。これはぼくの憶測だ。しかし、これは中々的を得ている考えだと思う。漫画やゲームの世界だってそうだ。始まりを経て経験を積んでからやっと手強い相手と戦う機会が与えられる。つまりは何の経験も無い君には東方仗助と対等に渡り合える機会すら与えられていないのだよ。

じゃあどうすれば良いのか?どうやって経験を積むのか?それはぼくを相手に練習をして徐々に男という存在を知り得ていけば良いのでは無いか。そう言えばなまえは目を驚いたように見開いてから明らかな戸惑いの表情を浮かべた。……大丈夫、ぼくは所詮ただの練習台にしか過ぎない。君が好きなのは東方仗助であってぼくじゃあ無い。ぼくとなまえは恋人でも何でも無いし、経験値は溜まるけれど特別な気持ちが其処に存在しない限りその行為は全てノーカウントだ。さあ、どうする?

「……露伴先生が、そう言うなら、」

ぼくの提案にそうなまえが返事をしたのは今から数ヶ月ほど前の事だっただろうか。













軽く動くだけで水音が結合部から漏れた。よく女を喰うだなんて表現があるがこれじゃあまるで男が喰われる方なんじゃ無いのか、なんて心底どうでもいい事を繋がっている所を見ながら思う。小さくて薄いなまえのその身体に不似合いな自分自身が完全に飲み込まれていた。溜息を一つ零してからより一層身体が密着するように彼女の上へと覆い被さる。両手をなまえの顔の横へと降ろした瞬間に肉壁がひくりと動いた。

「なまえ」

名前を呼べば閉じられていた瞼がうっすらと開いて色素の薄い瞳がぼくを捉えた。完全に蜘蛛の糸へと落ちたなまえを蝕む様にこの数ヶ月間彼女を求めた。啄むような口付けだけで済んでいた当初が懐かしい。いつの頃からかこうして身体を重ねて今ではそれが当たり前になってしまっている。心も身体も全てなまえの事はわかるようになってしまった。覆い被さったままで彼女の奥に更に入り込む様に腰を動かす。

「ひ…ぅっ、あ、あっ、露伴先生…っ!おく、奥…っ、いやぁ…っ!」
「なまえは此処をこうされるのが好きなんだろ?」
「だめ、だめ…ぇ、だって…、イっちゃうから…ぁ…!」

熱に浮かされっ放しの表情のなまえに軽く口付けをする。今この表情は全てぼくの物なのだ。それだけじゃあ無い。破瓜の痛みに怯え、そして必死に耐え、そこから快感へと目覚める表情全てがこのぼくの物となったのだ!ぼくがなまえをこんな風にしたかと思うと胸が震えて、それだけで興奮の絶頂へと達した。

なまえ、君は気付いているだろうか。幾度となく身体を重ねる度に東方仗助の名を口にしなくなっていた事を。気付いているだろうか。その度にぼくの名前を愛おしそうに呼んでいる事を。

君は新たに情が湧き出したぼくへの存在に戸惑っただろうか。東方仗助とぼくとの間で揺れ動き、悩み、思い詰まり、そして苦しんだのだろうか。そう思えば思う程に気持ちは高揚して何度も自慰行為に励み、そしてなまえを求めた。

「や、ぁ…っ!せんせ…っ、私もう、だめです…ぅ…!」
「…ああ、ほらイけよ、なまえ」
「あ、あっ!……っ、ろは、んせんせ…ぇ…っ!!」

首に廻された手がぎゅうとぼくを求めて、中の肉壁も精を搾り取る様にと大きく収縮を繰り返す。それに応えるようにぼくもなまえの中へと避妊具越しに全てを吐き出した。どちらの物とも言えない荒い呼吸だけが部屋に響く。

「露伴、先生…」

なまえが東方仗助への情を捨て切れたかというとそれは違うだろう。それでも君は糸に落ちてしまっているのだ。蜘蛛の罠に掛かった蝶はいくら藻掻こうとも憧れの空へと帰る事は出来ない。藻掻いて糸が絡まり身動きが取れなくなった蝶はそのまま蜘蛛の元へと堕ちる事しか出来ない。だからなまえもぼくの手の中へと堕ちるのだ。けれど、ぼくの能力で操らせて屈したのでは意味が無い。彼女自らの意思でないと駄目なのだ。だからさあ、早く、なまえ。

「……私、露伴先生の事が、」


この手の中へと。


20150524


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