story.28

母が命を落としてしまってからあっという間に2年が経ち、ロシナンテ6歳、ドフラミンゴ10歳、シルヴィア10歳になった。

そして今日、突然また悲劇が起きた──・・・



「ここだ!!!ここに白狐一族のガキと天竜人がいる!!!」
「「「『!!!?』」」」

街人に住み家がバレてしまったのだ。

「まずい!!!逃げるぞ!!!」
「させるか!!!」

ドフラミンゴ達は慌てて逃げようとするも、間に合わずに捕まってしまった。

「捕まえたぞォ〜!!!」

そう1人の街人が叫ぶと、ドフラミンゴ達の周りを沢山の街人が取り囲んだ。完全に逃げ場がなくなってしまい、焦りと恐怖の感情が支配する。

「子供達は許してくれ!!!私だけにしてくれ〜〜〜!!!」

父がドフラミンゴと弟とシルヴィアを守る様に抱え、悲痛な叫び声を上げた。そんな父にドフラミンゴは苛立った。こうなったのは誰の所為だと思っているんだ。

「白狐一族のガキはこっちに来るんだ!!」
『嫌だっ!!離して!!!』
「「「シルヴィア!!!」」」

父に抱えられていたシルヴィアが、1人の男によって取り上げられ、抑え込まれてしまった。
それを見て、ドフラミンゴは恐怖心を捨て父の腕から抜け出し、シルヴィアを抑え込んでいる男へと体当たりをした。

「このガキっ!!大人しくしろ!!!お前も邪魔だ!!!」

体当たりをするが、簡単に投げ飛ばされてしまった。
だが、ドフラミンゴは直ぐに立ち上がり、シルヴィアを助け出すために再び立ち向かった。

「白狐一族のガキを連れて行くぞ!!!」
『嫌だっ!!誰か助けて!!ドフィ助けて!!!』
「シルヴィア!!!!今助ける!!!!」

シルヴィアが今度は複数の大人の男に囲まれて、どこかへ連れて行かれそうになっている。シルヴィアは必死に抵抗しているが、大人にはやはり勝てないのか抵抗も虚しく連れ去られて行こうとしている。ドフラミンゴもシルヴィアを取り押さえている男達に必死に体当たりなどをするが、ビクともしない。

この光景が、いつの日かドフラミンゴが見た夢と重なる。その事に、益々ドフラミンゴは焦った。

──あの日見た夢の時の様に連れてなんて行かせてたまるか!!!

怒りと焦りの感情で可笑しくなりそうだ。何としてもシルヴィアは助け出さなければ。

『いやーーっ!!!!ドフィーーっ!!!!』
「シルヴィア!!!!!」
「痛ェなこのクソガキっ!!!!邪魔だ!!!!」
「ぐっ・・・!!!!」

ドフラミンゴがシルヴィアを掴んでいる男の腕に必死に噛み付いてみるが、やはり子供の力で大人に勝てる訳もなく、簡単に男に投げ飛ばされてしまった。

「今だお前ら!!!!連れて行け!!!!」
『いやーーっ!!!ドフィっ!!!!』
「シルヴィア!!!!」

シルヴィアが泣き叫んで必死にドフラミンゴに手を伸ばしてくる。その手を取ろうとするが、ドフラミンゴの前に男が立ちはだかり簡単に拘束されてしまった。

「クソガキお前は大人しくしてろ!!!!あのガキはもう助からねェよ!!!!売られるんだ!!!!」
「くそっ!!!!お前離せよっ!!!!」
「このクソガキ!!!!いい加減もう諦めろ!!!!」

ドフラミンゴが諦めずに必死に男を振り払おうも、シルヴィアはもう遠いところでまで連れ去られていってしまっていた。ドフラミンゴの目から涙が溢れて来て、目の前の光景が歪んだ。

「行くなシルヴィア!!!!!!」

泣き叫んで言うが、シルヴィアには届く事はなかった。あんなにもシルヴィアは必死にドフラミンゴに助けを求めていたというのに、救い出せなかった。ドフラミンゴはいかに自分が無力だという事を思い知り、絶望した。
手足からだらんと力が抜け、その場に座り込んだ。

──父上・・・・・・!!お前っ!!何てことしてくれたんだえ!!!

ドフラミンゴは、待人達に囲まれて未だに何かを叫んでいる父を、腹の底から湧いてくる感情のまま憎々しげに睨みつけた。その姿は最早天竜人として聖地マリージョアに君臨していた頃の面影は、欠けらも無い。

大好きだった母も死に、更には一番大切で守りたいと思っていた惚れた女のシルヴィアも連れ去られてしまった。

──お前が地位をほうきしなければこんなことにはならなかったんだ!!!

今もマリージョアにいれていたなら、母も死ぬ事はなかったし、シルヴィアも連れ去られてどこかへ売られる事もなかったし、ドフラミンゴは力を失う事もなく、今も何の不自由なく裕福に幸せに暮らしていたはずなのだ。
もう父とは思っていない、聖地マリージョアにいた頃はただ純粋に好きで尊敬していたが、今はこの最悪の状況を作り出した元凶であり復讐の対象である。

──殺してやる・・・!!!お前をいつか絶対に・・・・・・殺してやる!!!

今すぐにでも本当は殺してやりたいが、ドフラミンゴには今はその力はない。
だが、いつか必ずシルヴィアを助け出すためにも必ず力を手に入れる。その時が来たら、まずは──・・・

──お前から最初に殺してやる・・・!!!

その時、そこでドフラミンゴの意識は途絶えた──・・・



TO BE CONTINUED