現在ドフラミンゴはトレーボル達4人と、シルヴィアを連れ去った男達を見つけ、問いただしていた。
「おい、シルヴィアをどこへやった?」
「さァな」
「他を当たった方がいいんじゃねェか?」
ニヤニヤと笑ってしらを切ろうとしてる奴等に腹が立ち、ドフラミンゴはトレーボル達に目線だけで命令し、男達を抑えさせた。すると、男達が驚いて暴れだした。
「おい!!何すんだよ!!」
「離せよ!!」
「こんな事していいと思ってんのかよ!?」
ぎゃんぎゃんと騒ぐ男達にイライラし、懐から父を殺した時に使っていた銃を取り出し、1番近くにいたピーカが抑えている男に、銃を突きつけた。
すると、今まで煩かった男達が途端に大人しくなり、今度はガクガクと震え出していた。
「シルヴィアをどこへやったのか言え!!言わねェと打つぞ!!」
「ひっ・・・!!わ、わかった!!言う!!」
「言うから殺さねェでくれ!!」
「なら早く言え。おれはあまり気は長くねェんだ」
ドフラミンゴがそう言い脅すと、銃を突きつけられてる男が、口を震わせながら開いた。
「白狐一族の生き残りの子供を買い取ったのは──」
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街人達からシルヴィアを買い取った奴の名前と、居場所を聞いたドフラミンゴ達は、その場所へと向かっていた。幸いな事に、北の果てからそう遠くない島だったため、直ぐに到着した。
「まさかあの上流貴族のアランがシルヴィアを買い取っていたとはな」
街人から明かされたアランという名前は、聞き覚えがあった。まだ聖地マリージョアにいた頃に、父から聞いた事があった。色々な街の人と交流があり、顔が広く、人間でありながら天竜人とも関わりがったという人物だ。
「アランは絵に書いた様な好青年じゃなかったか・・・?昔父から聞いた事がある」
「べへへへ〜〜!!ドフィ、それはアランの表の姿だ!!裏ではそいつは人身売買、武器の密売、人体実験などをしてる!!」
「何だと・・・!?」
トレーボルの話を聞き、ドフラミンゴは驚愕したと同時にシルヴィアの身が心配になった。珍しい白狐一族だという事で、人体実験など良からぬ事をされてはいないだろうか・・・。
「だが、これは好都合でもあるぞ」
「・・・どういう事だ?」
ディアマンテの言っている意味が理解出来なく、ドフラミンゴは眉間に皺を寄せ、ディアマンテをサングラスの中から睨む様に見た。
シルヴィアが人体実験されてるかもしれないというのに、好都合な訳があるか。
「いずれおれ達はそういった闇の取引にも手を出すつもりだからな、アランの取引先と人体実験のデータを奪える」
「んねーんねー、ディアマンテの言う通りだよドフィ」
2人の言葉に納得し、頷いた。
「──ここか。」
街人達から聞き出した場所へと到着した様で、目の前にはアランとシルヴィアがいるであろう大きな城が建っている。上流貴族なだけあって、城は中々立派だった。
目の前には、門番であろう見るからに屈強そうな男達が数名立っている。
「お前達何者だ!!?」
「怪しい奴等め!!!」
「この先には通さんぞ!!!」
門番の男達がドフラミンゴ達に気付き、襲い掛かってきた。
ドフラミンゴが新しく手に入れたイトイトの実の能力で相手をしようと、手を前に出して構えると、
「ドフィ、動きを封じるならおれに任せろ、べへへ!!」
そう言ってトレーボルが前へ出たので、ドフラミンゴは大人しく手を下ろし、トレーボルの行動を目で追った。
「くらえ!!″ベトランチャー″!!!」
「「「「!!?」」」」
トレーボルは素早く門番達に近付き、粘液の塊の様な物を勢いよく発射させて、門番達に叩き付けた。
初めて見るトレーボルの能力に驚いた。
「うわっ!!?何か飛んで来たぞ!!?」
「くそっ!!こいつ能力者か!!」
「何だこれは!?妙な能力使いやがって!!!」
「ねばねばして取れねェぞ!!!」
「ねばねばじゃなく″ベタベタ″だ!!!」
叩き付けられた粘液が粘着となって門番達に絡み付いてるのか、思う様に動けないようだ。
成程、動きを封じるとはこの事かと、驚き半分感心半分で見ていた。
「ドフィ、今のうちだ!!中へ急ぐぞ!!」
その言葉が聞こえて我に返り、ドフラミンゴ達は城の中へ向かい、シルヴィアがいる部屋を探し回った。
見た目通りと言うべきか、城の中はやたら広くて無駄に部屋の数が多いので、探すのに中々手間取っていた。
だが、城の中に入った時も思ったが、こんな広い城の中に不自然な事に、使用人どころか人がいる気配が全くないのだ。どういう事だと、不審に思いながらもひたすらシルヴィアを探し回った。
「残るはここだけだな」
探し回っていると、やがて地下室の前へと辿り着いた。ディアマンテの言う通り、残るはこの地下室のみとなった。
ドフラミンゴが地下室の扉を開けようとしたその時──
『いやあーーーっ!!!!来ないでーーーーっ!!!!』
「「「「「!!!?」」」」」
地下室の中からシルヴィアのだと思われる悲鳴の様な叫び声が聞こえ、ドフラミンゴが驚愕しつつも慌てて扉を開けた。
すると、目の前には信じられない光景が広がっていた。大量の男達が次々と倒れていっているのだ。
「これはまさか・・・・・・っ!!″覇王色の覇気″か・・・!!?」
トレーボルが次々と倒れていっている男達を見て、目を見開きながらそう言った。
だが、ドフラミンゴはそんな事はどうでもよかった。今はそんな事よりもシルヴィアを救出する方が、ドフラミンゴにとっては最も優先するべき事なのだ。
「シルヴィア!!どこにいる!?」
広い室内の中は薄暗く、真っ黒なサングラスをしている所為もあって、視界はほぼ黒に近くなっていて、探しにくい。
倒れている男達を踏み潰しながら進んでいると、奥に白い塊の様な物が見えた。恐らくあれがシルヴィアに違いないと思い近付くと、その塊がやはりシルヴィアだと気づいた。シルヴィアは鎖に繋がった手錠、首輪、足首手錠をされていて、顔を伏せてだらんとしていた。
「シルヴィア!!」
名前を呼んで駆け寄るが、シルヴィアからの反応がない。
「おい、シルヴィア・・・?」
「どうやら気を失っている様だな」
ドフラミンゴがシルヴィアの顔を覗き込もうとしていた時、後ろからヴェルゴがそう言ってきた。そうか、気を失っていたから反応がなかったのかと納得した。
「ヴェルゴ、シルヴィアに繋がれてる手錠とかの鍵を探してくれ」
「わかった」
シルヴィアを見つめたままドフラミンゴが言うと、ヴェルゴが頷いて直ぐに行動してくれた。
ドフラミンゴはシルヴィアの側でしゃがみ、正面からシルヴィアを抱き締めた。
「シルヴィア、助けてやれなくて悪かった」
北の果てで助けてやれなかった、それがずっと気がかりだった。ここに来るまでの間、シルヴィアに何かあったらどうしようかとずっと不安だった。
新しい力を手に入れたからには、これからは絶対に守り通してみせると、心の中でシルヴィアに誓った。
TO BE CONTINUED