story.42

「シルヴィア、お前は復讐してェと思う相手はいねェのか?」
『え・・・?』
「4年前にシロノ国を襲撃した奴等に復讐してェと思わねェか?」
『っ・・・』

 確かに、復讐したくないと言えば嘘になる。家族と一族の皆を殺したのだ、許せるはずがない。シルヴィアは少なからず、復讐心はあったのだ。
 そして、4年前にシロノ国を襲撃したのが何者か、何故襲撃したのか気になっていた。

「・・・まァ、例えお前に復讐する気がねェとしても、おれが復讐するがな」
『え!!?』
「だって許せるはずがねェだろ? シロノ国を崩壊し、それだけじゃなくシルヴィアの一族を皆殺しにしやがったんだ・・・シルヴィア以上の苦しみを与えてやらなきゃ気が済まねェ」
『ドフィ・・・』

 シルヴィアは不謹慎だが嬉しくなった。そこまでドフラミンゴが、シルヴィアの事を考えてくれているのかと。
 だが、ドフラミンゴの気持ちは嬉しいが、ドフラミンゴに復讐させる訳にはいかない。これはシルヴィアの一族の事なのだから、シルヴィア自身でケジメをつけないといけない。

『ありがとうドフィ・・・でも、大丈夫だよ。一族の事はわたしが自分で何とかするから』
「そうか・・・だが、どうするつもりだ?」
『まずは情報を手に入れて、それから力をつける!!』
「べへへ〜、情報ならある程度はあるぞ」

 トレーボルのまさかの言葉に、ドフラミンゴとシルヴィアが揃って驚いてトレーボルを見た。

「トレーボル、それは本当か?」
「あァ、本当さ。何年か前から新聞に頻繁に滅んだシロノ国についての事が載っていたぞ」
「ドフィ達は新聞を手に入れる事すら困難な状況だったから、知らないのも無理ないな」

 トレーボルに続き、ヴェルゴの言葉にピーカとディアマンテはうんうん、と頷いている。彼等の言う通り、シルヴィアとドフラミンゴはここ何年かは、食糧を手に入れるのも困難な生活を送っていたため、新聞を手に入れる事も出来ていなかった。
 そして、何年か前に、街人にシルヴィアがシロノ国の生き残りだと言われた事をふと思い出した。あの時は、シロノ国が滅んでそんな経っていないのに何故知っていたのか疑問だったが、今納得した。新聞に載っていたからだったのか、と。

『どんな事が載っていたの?』

 シルヴィアがそう聞くと、トレーボル達はゆっくりと新聞で読んだ事を話してくれた。その話を、ドフラミンゴと一緒に真剣に聞いた。
 シロノ国の生き残りは次期当主に選ばれたシルヴィアだけだという事、シロノ国が何故襲撃されたのかという事、襲撃した犯人は結構力のある″ジャンク海賊団″だという事などを話してくれた。驚くべき事に、トレーボル達の話だけで必要な情報は全て手に入ってしまった。それだけ世界政府の情報網は凄いという事だろう。

「トレーボル、その″ジャンク海賊団″のトップの奴の情報はないのか?」
「べへへ〜、もちろんある!! ジャンク海賊団はこっちもいつかは潰したいと思っていたからな!! んね〜!! 手配書もある」

 そう言ってトレーボルから手配書を渡され、それをドフラミンゴと一緒に見ると、″ジャンク海賊団船長ジャンク・ベルト 懸賞金2億6000万ベリー″という文字と、顎鬚が立派な見るからに悪人そうな男が写っていた。シルヴィアはその手配書をぎゅっと強く握り締め、写真に映るジャンク・ベルトを睨みつけ、この男への復讐を誓った。

「だが姫さん、そのジャンク・ベルトの手配書を見てわかるだろうが、中々手強い相手だぞ。それでもやるのか?」
『はい、やります!! 戦い方を教えてください!!』

 ディアマンテが言ってる事は最もで、今の戦い方を知らないシルヴィアでは返り討ちになるのが目に見えている。だから、これから戦い方を身につけるのだ。
 シルヴィアが強い眼差しでディアマンテ達を見詰めると、彼等はシルヴィアの意思が伝わったのか、わかったと頷いてくれた。

 ドフラミンゴは世界の王になるため、シルヴィアはジャンク海賊団への復讐の為へと力をつけるためにトレーボル達から戦いを教えてもらう事になった。


TO BE CONTINUED

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