たった今、俺が決めた
「おい、マリア!! どこへ行く!?」
『とにかくバカ若様から逃げれる所にですよ!!』

 ドレスローザ王国では、王国内を1人のメイドが王下七武海であり現ドレスローザ王国の王のドフラミンゴから、逃げ回っていた。周りの玩具達の戸惑った様な視線を浴びるも、本人達はその視線を物ともせずに王国内を走り回っていた。
 このメイド、名をマリアといい、ドフラミンゴの部下であり、城のメイドである。

「おれから逃げ切れるとでも思ってンのかァ!?」

 ドフラミンゴは、前方で全速力で走っているマリアとの距離を徐々に縮めながら問い掛けた。そんな彼の口角は、実に楽しげに釣り上がっていた。この状況を楽しんでいるのがわかる。

『逃げ切れるなんて思ってませんよ!! でも、気持ち的に諦めるよりマシなんですって!!』

 楽しそうなドフラミンゴとは対照的に、マリアは額に青筋を浮かべ、後ろから追いかけて来ている自分の主であるドフラミンゴへと振り返り、怒鳴る様に叫んだ。

 そもそも、何故マリアがドフラミンゴから逃げ回っているかというと、何分か前にドフラミンゴがマリアに告げた衝撃発言の所為だ。
 マリアが王宮内の掃除をしている時にヴェルゴが来て、「ドフィが呼んでいる」と聞き、マリアがドフラミンゴの自室を訪れた事から全ては始まったのである──



『若様、マリアです。』

 ヴェルゴの知らせを聞き、ドフラミンゴの自室に着いたマリアが扉をノックをすると、中にいたドフラミンゴから「入れ。」と許可が出たので、マリアは扉のノブを引き『失礼します。』と言い中へと入り、ソファに長い脚を組んで座って寛いでいるドフラミンゴの傍へと寄り、頭を垂れて跪いた。

「マリア、お前に良い知らせだ」
『何でしょう?』

 ドフラミンゴの言葉に、マリアが跪いている姿勢はそのままに垂れていた頭を上げてドフラミンゴを見上げると、ドフラミンゴはいつもの不敵な笑顔を浮かべて、跪いているマリアを見下ろしていた。

「フッフッフッフッ!! 喜べマリア!! お前をおれの妃にしてやる!!」
『・・・・・・・・・・・・』

 独特な笑い声と共に声高々と告げられた衝撃発言に、マリアはあまりの事に驚愕を通り越して放心した。そんなマリアを、ドフラミンゴはニヤニヤと笑いながら反応を待ちつつ、更に追い打ちを掛けた。

「そうだなァ・・・フッフッフッフッ!! 式は一週間後に挙げるぞ!!」
『・・・・・・は、はアアアア!!!? き、きき聞いてないですよそんな事っ!! いったいどういう事ですか!!?』

 マリアは立て続けに言われた唐突過ぎる衝撃発言に我に返り、楽しげに笑っているドフラミンゴに、激しく動揺しながらも詰め寄った。このまま放心していたら、どんどん話が先に進みそうで怖かった。

「フフフフフ!! 聞いてなくて当然だ!! 式の事は″たった今、俺が決めた″からな!!」
『じょ、冗談ですよね!!?』
「いや、本気だぜ。ヴェルゴ達にはもうお前を妃にする事は告げてあるから安心しな。これから式の手配をさせる」
『ふ、ふざけんのも大概にしろバカ若様ァァァ!!! 誰があなたの妃になるって言いました!!?』

 話が急展開過ぎて着いていけない。マリアは怒りで顔を真っ赤に染め、ドフラミンゴに怒鳴った。それでも、ドフラミンゴの顔に浮かべられた楽しそうなニヤニヤとした笑顔は崩れる事はなかった。
 この主はいつもそうだ。何年か前に、たかがメイドに見合いをさせたり、いつだか呼び寄せた娼婦と混じるのを命じて来たりと、いつもいつもマリアが想像がつかない様な事を思いついては、それを命じてきてはマリアを怒らせ、その反応を見て楽しんでいるのだ。全くもって、実に達の悪い主人を持ってしまったものである。この主人のドフラミンゴの所為で、マリアは日々自分の胃がキリキリと痛むのを感じていた。

「フッフッフ、照れんなよマリア。顔真っ赤にして可愛いじゃねェか」
『照れてないわ!! 怒りで真っ赤になってんのよ!!』

 ああもうやだと、マリアは半泣きになった。本当に勘弁してもらいたい。この身勝手すぎる主人に振り回されるのはもう懲り懲りだ。

 だが、1番許せないのは、実はドフラミンゴの思いがけない言葉を聞いて、嬉しく思っている自分がいる事だった。そんな事は、口が裂けてもドフラミンゴには、決して言ってやるつもりはないが。


─END─

ツンデレな女の子って可愛い・・・!!
ツンデレな女の子と若様って最高な組み合わせじゃない!!?という管理人の妄想でこの様な話になりました( *´艸`)