こうして、『王』は守られて平和に暮らしましたとさ。めでたしめでたし。





 焼きつくすような陽射し。熱を帯びるアスファルトを染める赤。周囲の悲鳴がどこか遠くで聞こえる。一人きり取り残されたような感覚。おれを庇って死んだ臣さんの姿だけが鮮明だった。その傍でゆらゆらと陽炎がおれの姿を形作って、刺すような眼を向けてくる。なんでおれあんたが生きてるの。嗚呼、五月蝿いな。解ってる、解ってるよそんなこと。臣さんはおれなんかの為に死んでいい人間じゃない。そうやっておれそいつに叫んで目が覚める。夢。あれは所詮夢だ。けれど焼けつくような陽射しも、周囲の悲鳴も、おれの目の前で倒れる臣さんも、焼きついて離れない。どうすればいいかなんて解ってる。だから学校に向かう途中で臣さんと合流してあの道に来た時、おれを庇おうと伸ばしてきた臣さんの手をするりと躱して、自ら信号無視の車の前に飛び出した。焼きつくすような陽射し。熱を帯びるアスファルトに投げ出されたおれを中心に染まる赤。聞こえてきた周囲の悲鳴。それらが全て他人事のようだった。茫然と蒼々とした顔でおれに向かって駆け寄ろうとする臣さんを、周囲の人達が必死に止めていた。その傍でゆらゆらと陽炎がおれの姿を形作って、よくやったとでも言いたげに現れて直ぐに消えた。だからもう、いい。さようなら、臣さん――おやすみ。