爆豪くんが怪我をした


「………」
「………」
「…てめぇの弁明聞いてやるわ」
「………爆心地が敵と闘ってるの、テレビで見て」
「おう」
「救援、警察から掛かってたから、取ったの」
「それで?」
「…そしたら、爆発音がして、テレビの向こうも真っ赤になってるし」
「だからってコスチュームも着ねぇで現場駆けつけてくる馬鹿がいんのか」
「バカって言う必要ないよね」
「だってそーだろ。俺が負けると思ってんのか」
「………だって、現に怪我して入院までなって」
「うるせぇ。負けてねぇわ。アイアン・メイデンにぶち込んだの見てねぇのか」
「見てたけど」
「てか、着の身着のままのお前が現れたら死んでたんだぞ」
「………」
「…あ??」
「…………ごめん、取り乱した。なんか、情けない、ね」
「………」
「うん、これ以上、ここ居たら捜査の邪魔になっちゃうし、爆豪くんも休まらないよね。あはは、事務所戻ってる。うん、やることもいっぱいあるし」
「……」
「…えっと、落ち着いたら、また連絡するね!」
「あーー!!くそ、その変な面やめろや!!」
「変な面って…」
「空元気とかクソムカつくわ!」
「空元気じゃないって」
「嘘つくなシバキ倒すぞ」
「…だって、情けないじゃん…君より十数も歳上が取り乱して」
「歳の差出すなって言ってんだろ」
「……」
「言いたいことあんならはっきり言え」
「……心配した」
「そーかよ。俺は負けねぇから、いらぬ心配だわ、くそが」
「恋人の心配してもいいじゃんか」
「だったら、俺もてめぇに同じこと言えるからな」
「………ごめん」
「おー。んで、他は」
「ううん、これで、もう、大丈夫」
「嘘吐くなって言ったよな」
「……」
「ちゃんと言え」
「…………君は、本当に、ずるいよね」
「あ?」
「ねぇ、抱きしめてもらってい?」
「…理由は」
「君が無事ってちゃんと分からせて」
「………どうしようもねぇ女だな、ほんと、てめぇは」