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「大好き!愛してるよ〜!!」


いつか誰かに言われた言葉。「あんたの好きはヘリウムより軽い」
だって仕方ない、わたしは他人に愛を伝えるのが好きだけど他に使える言葉を知らない。
そして私が軽く愛の言葉を吐いてしまうのはあの刀も例外ではなかった。


「にゃあさん〜!ありがとうございます!大好き!」

そろそろ休憩にしようとぐっと伸びをした時丁度部屋にお茶とお菓子を持ってきてくれた大般若さんに礼を言う。

「あんたは誰にでもそういうことを言うよな」
「……?ああ、好きとか愛してるとかですか?誰にでもってわけじゃないんですけどうちの本丸の子はみんな大好きだから口がつい言っちゃうんですよね」
「勘違いする奴も出てきそうなもんだが」
「ないですよ、ないない!みんな大切な家族ですもん!」
「そうか?例えば……俺みたいな奴とかな」
「え、」

手を引かれ抱き寄せられる。気がつけば大般若さんの腕の中にいた。

「俺はあんたに口説かれてるのかと思ったぞ」


耳元に唇が寄せられ吐息を含んだ声で囁かれた。

「うへぁぅ!?」
「なんてな、冗談だ……それにしてももうちょっと色っぽい声上げれないもんかね」
「むりむりむりです、いやむり、え、なに?」
「落ち着け」
「ひえぁ、にゃあさんはもっと顔と声が良いことを自覚してください……冗談でも死ぬ……」
「はは、あんたに死なれちゃ流石に困るから程々にしようかね」

ぽん、と頭に手を置かれ開放される。心臓に悪い、悪すぎる。冗談だとわかった今でもうるさいくらいに心臓は跳ねている。

「前々から言ってますけどあんまりからかわないで下さいね?」
「はいはい、善処するよ」

大般若さんはそう応えるとひらりと手を振ってそのまま部屋から出ていってしまった。

「……ほんとなんなのあの人」





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2017.12




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