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「なあ」
「どうしたんですか、大般若さん」
「俺のことも他の連中みたいに呼んでくれよ」
「他の連中とは……」
「加州のことは清光、親父殿のことはみっちゃん、そう呼んでいるだろう?俺ももっと親しみを込めて呼んでくれよ」
「ああいうのは付き合いの長さがそうさせてるのでなんとも言えないんですけど……」
「付き合いの長さ、ねぇ……俺はあいつらより長くなることは無理だが深くなることは出来ると思ってるんだがね」
「ひぇ、」
「どうだい?」
「そういうことばっか言う……思わせぶりなことばっかり……」
「思わせぶりとは心外だな。ずっと言ってるだろう?俺はあんたを口説いてるんだ」

下を向いていると顔を覗き込まれて綺麗な緋色の瞳に見詰められる。

「も、もう!わかりましたから!ええと、じゃあ、にゃあさん!」
「にゃあさん……」
「ご不満ですか?」
「いいや、気に入った。これからはそう呼んでくれよ、主サマ」
「わかったから!顔が近い!」



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2017.11







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