年末年始は祖母の家に親戚が集まる風習がある家なので今年も例年のごとく本丸を離れ祖母の家に行っていた。
食べて話して帰ってきたのは日付が変わる少し前。

「さむ〜って、あれ?にゃあさん!?」

玄関先で腕を組んで立っていたのは大般若さん。びっくりして駆け寄ると少し鼻の頭が赤くなってるのがわかった。

「おう、おかえり」
「ただいま帰りました!もしかしてずっと待っててくれました?」
「いやなに、少しだけだ。あんたを1番に迎えたくてな」
「ありがとうございます、嬉しいです!」

ぎゅっと腰に抱きつくと服越しでも少し冷えているのがわかった。顔を胸にうりうりと押しつけると優しく髪を撫でてくれた。大好きな優しい手つき。

「もうすぐ年が変わりますね」
「来年はどんな1年になるんだろうな」
「う〜ん、みんながいれば最強な感じですかね!」
「なんだそれ……ま、あんたらしくて良いな」
「そのまんまですよ、毎年人が増えて楽しいと幸せが更新されてるので!!来年もにゃあさんのそばにいたいなぁとは思いますけど」
「俺の方こそあんたのそばに置いてくれ、心変わりされるのは敵わない」
「心変わりなんてしませんよ、ずーっとすきです。来年も再来年もその先もずっと。小娘の戯言だと思われるかもしれないですけど本気です、だから……っん、」

ふいに口を塞がれた。触れるだけの優しいキス。

「悪い、あんまり可愛いこと言うもんだから我慢が聞かなくなった」
「も、もう!そんなことばっかり言って……!」

遠くでカウントダウンの声が聞こえる。広間に集まっているみんなの声だろう。

3、2、1……

「あけましておめでとうございます!今年もよろしくお願いします〜!!」
「あけましておめでとう、こちらこそよろしく頼むよ」

見詰めあって笑い合う、良い1年のスタートが切れた。今年もきっとたくさんの幸せに溢れた1年になるんだろうな。


「さて、部屋まで送っていこうか」
「ありがとうございます、あの、部屋までで良いので手繋いでくれますか……?」
「勿論、断る訳ないだろう?」

冷えた指先がふたりの体温が合わさってじんわりと温かくなっていく。
部屋までの短い距離、他愛のない話しをしながら歩いた。

「じゃあ、荷物置いてお風呂入ったら広間の方に顔出しますね!」
「あぁ、温かくして来るんだぞ?」
「はい!じゃあ、また後で……っと、」

部屋に入ろうと背を向けると後ろから抱きしめられた。

「にゃ、にゃあさん?」
「……今年もたくさんあんたのこと愛させてくれよ」
「ひえぇ、は、はいぃ……」

首元にちゅ、とキスが落とされる。身体が熱い。
満足したのかすぐに解放され大般若さんは広間へとさっさと向かって行ってしまった。

部屋に入った私は小さく奇声を上げながらみんなに話を聞いてもらおうとTwitterを開いた。



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2019.12.31→2020.1.1




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