Watch shop owner
×
Bank robbery
theme
第八十四回テーマは「時計店店主×銀行強盗」
zakio
時計店というものは絶滅の一途を辿るばかりだ。かくいう自分も時計店を営んでいる。このままでは店の存続が危うい。思い切って銀行強盗をしてみよう、とやばい方向にアルツハイマーが始まってしまった時計店店主のおはなし。
tacos
ひとしきりワルツや、オルゴールや、鈍くくぐもった鉄や、鳩の音が鳴った、はずの、そのあとの空白を味わってから、私は顔を上げた。午後6時3分。そろそろ人々は逃げ惑っているだろう。商店街を抜けたところの銀行で、強盗があるのだ。私が計画した、完璧な銀行強盗だ。次に時計たちが騒ぎだす頃に任務は遂行し終わって、その次の頃には彼らの運んできてくれた大金がここにあるだろう。そして次の頃には__いや、次を聴くことはないのだろう。古時計に触れると寂しさが増した。彼らへの置き土産にと残しておいた1つが、忘れていたように、クルッポ、と鳴いた。
top