黄泉竈食ひもカニバリズムもできるまなざし

2021/02/06
背中を撫でられたような、すっとした冷たさが体を支配する。後ろを向かずともわかるその声の主に私はどうすることも出来なくって、ただ息を呑んだ。‖感傷に浸るのはいくらでも出来た。思い出だけは綺麗に鮮明で、それでいていつだって私を優しく包み込んだ。私に優しいのは記憶だけで、それに縋って生きるしかもうないのだ。ずっと大事に抱えたそれを捨てるのはきっと簡単なことだった。だけれど、捨ててしまえば私は誰に優しくしてもらえればいいのかわからない。


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