黄泉竈食ひもカニバリズムもできるまなざし

2021/02/14
モルヒネ‖彼を見た瞬間、私の心の中のジョウロが満水になった。
少しでも傾ければ、注ぎ口から中の水が理性を忘れて勢いよく飛び出てくるだろう。そうならないように、遠くから彼を見るだけでいた。だがある日、ひょんな事で、彼と知り合い、話をするようになった。これ以降、私の心の中のジョウロの均衡は脆く崩れ去った。
彼と顔を合わせる度に、ジョウロの水は、彼を知る度に新しい水が注がれ、その分だけ注ぎ口から古い水が流れ出ていった。次第に、私は初心を忘れて彼にのめり込んでいった。八年前の事だった。



prev or next
top page