異変が起こる編




エクルの願いを叶える力が復活しはじめる。蓋の重石がずれて、中身が漏れ出すように、些細なことから少しずつ。
【例】カフェで後ろの席に座ったごつい男が「もう少し指が長ければなあ」とつぶやくと、一心不乱に食べていたエクルが「ヨロシ」と言う。聞きとがめたアッシュがエクルに尋ねようとした瞬間、後ろの男が悲鳴を上げ、見るとごつごつして太短かった男の指がすらりと伸びている。
「ヨロシ」は「よろしい」の意味。「エクルに一番近い距離の人間が願いを口に出す」と、「エクルの能力で可能な限り」叶えられてしまう。
殺し屋業がスムーズに遂行できなくなり、エクルではなくアッシュが手を下す事態が頻発する。アッシュはなぜエクルがいちいち些細な寄り道をするのか初めは不可解に思うが、本来エクルはそういう生き物だったと気がつく。
では、今まで殺しばかり叶えてきたのはなぜだ?

そう願ったやつがいたからだ


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