Blank Requiem

この世に溢れた音と色と温度は、様々に飛び交うベクトルは、結局同じところに行き着くのでしょうか。

君は僕の真っ白い遺書が折り畳まれていくのをキラキラとした瞳で見守ってたっけ。それがどんな想いを乗せて飛ぶかなんて知らずに、次に君と僕が会うのはニュースに飛び交う無名の「少年」なのにね。本当、純粋で美しくて、真っ直ぐで羨ましい。

青い空を切り裂いて進む白い紙飛行機を見上げた時、僕は柄にもなく泣きそうなったよ。ここに君の魂が舞っている。このまま誰にも手折られず、真っ直ぐ何処までも何処までも、何処までも───。

この世界は重ならないベクトルで出来てるなんて言ったら、君は驚くか? 偶然と必然と、それは自然の摂理だけには限らなくて、人生というベクトル、刻々と進む直線は、空間で互いの角度と向きを変えながら生きていく。

まるで交わったかのような二つの線を見上げる僕の眼裏に焼き付いて離れない残像を、どうか君も忘れませんように。