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突然だけれど、兄弟がいると絶対に一方は損をするものだと思う。
歳が離れていればそんな事はないのかもしれないが、年子、ましてや双子となるとそうはいかない。どちらか一方は優れていて、片方は劣っているものだ。見た目でも頭でもなにもかも。


頑張って頑張って頑張って、それでも追いつける事が出来ない人というのはいる。
努力をしても勝てなくて、頑張っているのにそれ以上に凄い人がいるから、自分のちっぽけな物なんてだれにも見てもらえない。


私がそうだ。


双子の姉は私よりも頭が良くて、才能に溢れていて、目元が優しくて奇麗な口元の母親と、髪が茶色くてすっとした鼻をもつ父親の優れている所だけをもらったためにとても美人な姉。
そんな姉とは二卵性双生児だったからか全く似ていない私。

私だって頑張った。寝る間も惜しんで頑張っているというのに、部活をして、放課後や休みの日はみんなと遊びにいってていつ勉強しているのかわからない姉にはいつだって勝つことがない。


『馨ももっと頑張りなさい』

『あいつと双子なんだから、お前もやればできるはずだ』


やればできるって、じゃああとどれくらいやればいいの?
才能がないんだ。姉みたいに運動神経が良いわけじゃない、絵が上手なわけじゃない、顔が良いわけじゃない。
なら、努力したって勝てるわけがない。




「あ、愛ちゃんだ」

「...ん?」

「馨のお姉ちゃんきたよ」

「本当だ」




だから私にも、何か彼女に勝てる物をと思って、笑顔をはりつけた、コミュニケーション能力を高めた。
だれとでも仲良くなれるように、社交的な性格になってみた。


「あ、馨」

「なに、お姉ちゃん」

「ごめん、古典の教科書もってる?」

「またわすれたの?ほら」

「ありがとう、さすが私の妹!!」

「ちゃんと返してよ」

「大丈夫大丈夫。ありがとね!!」



古典の教科書を胸に抱いて、笑顔でありがとうと言う姉。
双子である私がやっても、絶対こんなに可愛くはなれないだろう。


『本当にあの二人って双子なんかね』

『本当は親が違う、とかありえそうだよなー』

『いえてる』




そんな言葉にも慣れた。
本当は慣れちゃいけないんだって事も知ってる。逃げちゃだめだという事も。
でも、気付いたら慣れていたんだから仕方ないと思う。


廊下を走って行く私の姉に、ほとんどの生徒が視線を投げる。
姉が向かっている先には、この学校で色んな人が期待やら好意やらを寄せてる男子バスケ部のレギュラー勢。
全員顔がいいんだ、これが。そんな彼等のそばにいる姉は、やはりとてもお似合いだった。




「馨、ここ教えてくんない?」

「いいよーん。マジバね」

「え、たかんの」

「タダで教えると思うなー」

「へーい」



それでも、私にだって友達いるし、顔は可愛くなくて普通の顔だけど笑顔とコミュニケーションでなんとか培って来た経験で、いろんな人と話せる。


ちっぽけな努力かもしれないけれど、これが私の生きていく術なんだ。





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