「あー・・・女神がいる・・・」
「うっわ、マジで大丈夫じゃないじゃん」
熱でだるい身体を起こすと、そこには女神・・・なまえが立っていた。
「『ヤバい熱で死ぬ助けて』って連絡があったから来てみれば・・・最強の男も高熱には勝てないのね。ウケる」
そう言いながら、僕の部屋に到着するや否や、ベッドサイドにスポーツ飲料を置き、額に冷えピタを貼って、ご丁寧に熱まで測ってくれた。
手際が良い。
「げっ・・・38.8℃?そりゃ死ぬわ」
体温計を見て顔を顰めると、ちょっと待ってて、と立ち上がった。
「どうせ薬も飲んでないんでしょ?っていうか、ないよね、薬なんか。買ってきたけど、とりあえず何か胃に入れないとだから、お粥作ってくる」
早口に言うと、買い物袋を手に持って部屋から出て行った。
なまえの気遣いなのか、部屋のドアを開けたままにして、なまえの気配を常に感じられるようにしてくれていた。
こういうとこがね、もう、良い女すぎるでしょ。
しばらくすると、トレーを持ったなまえが戻ってきた。
きっちりとエプロンを着けている。レアな姿だ。ヤバい、ちょっとムラっとする。
「卵粥だけど食べられる?」
「うーん、なまえが食べさせてくれたら食べられる」
「・・・・・・」
「いや、なにその目。身体だるくて力入らないだけだからね?」
疑いの目を向けるなまえに全力で弁解すると、仕方ないとでも言うようにため息を吐いて、お粥を掬ったレンゲを僕の口元に持ってきてくれた。
しかも、ふーふーしてくれた。やっぱりムラっとする。
無事にお粥を食べ終わり、薬を飲むと、なまえが片付けを終わらせて部屋へ戻ってきた。
「汗かいたみたいだから着替えたら?タオル濡らして持ってきたから,身体も拭いた方がいいよ」
着替えとタオルを渡される。
言われた通りにすると、さすがに背中には手が届かないことに気付く。
なまえに目で訴えると、一瞬嫌そうな顔をしながらも、背中を拭いてくれた。
「ねぇ、なまえ」
「なによ」
「僕、今すっごくムラムラしてるんだけど」
「バカなの?」
「いやいや、愛しの彼女がさ、エプロン着けてお粥ふーふーして食べさせてくれて、おまけに身体拭いてくれてんだよ?なのにムラムラしない男はいないでしょ」
「・・・それだけ元気なら、もう帰っても大丈夫だよね。じゃあお大事に」
「冗談だって。さすがにこの状態だとなまえを満足させてあげられないしね」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
少しの間の沈黙の後、なまえが今日一番の大きなため息を吐いた。
「今日はリビングで寝るから、何かあったら呼びなさいよ」
「はーい」
「ただでさえ人手不足なんだから、さっさと治してまた働いてよね」
「えーじゃあしばらく治らなくていいかも」
「・・・・・・治ったら満足させてくれるんでしょ」
「は?」
幻聴か?
なまえの方を見ると、暗がりで分かりにくけど、若干頬が赤くなっている、気がする。
「・・・何でもない。おやすみ」
「え、治すから。明日には治ってるから」
なまえが出て行った方を見て、高らかに宣言した。
明日、いや今日中に治す。
えーなに?もうさ、
僕の彼女かわいすぎない?