ミニ小説




▽2019/06/22(Sat)
へっぽこ淫魔が狙うは極上の餌4*


えろえろ。
鬼畜度A+のイメージ。


名前変換




 アーサーは部屋の壁掛け時計を見やる。
 短針はとうに頂点をまわり、諦めたはずのベッドが恋しくなりつつあった。やるせなさが追い討ちをかけにくる一方で、この身を蝕む不明瞭な感覚が単なる眠気と言い表せないのもまた事実であった。疲れていると高まるとは耳にするが、行きずりの少女に劣情を抱くほど乾いていたのだろうか。
 まさか、これが淫魔とやらの力なのか。
 なんて真面目に考えるのが無駄に思えてくるような、説明のつかない昂りが確実に育まれつつあったのだ。

 そうして雑念が漂い始めてからどのくらいが経過しただろう。透き通るような悲鳴が、我慢効かず放たれたことで、ようやくアーサーは自分の指が何をしているのか思いだす。
 丁寧に剥いてやった豆粒が、ぷるぷると辛そうに訴えている。固く噛み締められた口元はすぐさま嬌声を抑えこんだようだが、飲み込みきれていない唾液が口の端から垂れているのを自覚しているかは怪しい。ソファにぎゅうっと爪を立てている様子からして、脱力には程遠い状況にあるのを物語っていた。

「......。」

 極端に刺激すると余計に力が入ってしまうようだ。これではいけない。
 アーサーはほんの少しだけ思案するそぶりを見せてから、ほったらかしにしていた膣内を再び二本の指でちゅくちゅく小突いてみる。汗ばんだ肩が飛ぶように跳ねて、唇の締まりが驚くほど簡単に緩みはじめた。鼻にかかった悲鳴がぐずぐずと溢れてくると、クリトリスの方から寂しそうにねだってきたので、軽くピーンと弾いてから間髪入れずこねていく。すると、入り口がきゅうきゅうと収縮してアーサーの指を締めつけるではないか。
 あれだけの大口を叩いておきながら、なんともまあ殊勝な反応だ。
 快楽に耐えきれていない四肢のもたつきぶりをぼんやり眺めながらイッてる最中の敏感な小粒をちゅるちゅると吸い上げると、ガクンと顎が仰け反った。わりかし早く見つかった中の弱点も同時に刺激しながら、アーサーは彼女とは比べものにならない手腕で、飽きもせず強い快楽を叩きこんでいった。

 呂律の回っていない否定混じりの半泣き声が、アーサーにほどよい満足感をもたらす。ますますもって舌先と指の動きにやる気がこもっていく最中、心底辛そうな叫びとともに充血した花芯がヒクつきだし、収縮する膣壁と一緒に深度の高い絶頂に襲われているようだった。耐えきれず腰を引き、アーサーの舌なり指から逃げようとする動きを咎めるように、より強く激しくなぶっていく。逃亡に失敗した未成熟な体は、罰としてたっぷり気持ち良いことを教えられて、煮えたぎった脳みそをひっくり返された快感に白黒と目を回す。逃げ場のない絶頂感が体を支配して容赦なく名前を追い込んだあと、力が入らずぐってりと打ちひしがれている淫魔だけが残されていた。

 イッたと思ったらまたイカされて、それでもようやく乗り切ったと思っているのだろう。続けざまにぶつけられた大きな波が通り過ぎるのをじっと待っている健気な姿である。アーサーの指はいまだ嵌められており、舌先だって動いてないだけで花芯のすぐ傍に控えているものを。ぐちゅ、と奥を潰すように指の関節を曲げる。素っ頓狂な悲鳴が耳をつく。もうイッたのなんだの喚いて暴れようとする前に、アーサーはぐちゃぐちゃの膣内をさらに激しくかき乱す。コリコリに尖ったクリトリスに軽いキスを送ってから、可愛らしいかたちをなぞるようにそれはもう優しくいじめ始めた。

「暴れたらきちんと舐めてあげられないよ」

 ヒクッ、と尻尾が怯える。
 存外、わかりやすい。機械仕掛けとは思えないなめらかな揺れ具合を尻目に、ようやく人外の存在を認めつつあった彼が抱いた感想は他愛もないの一言だった。乳首をつまめばきゃうっと跳ねて、豆を弾けばひん、と怯える。触れる前からとろとろにほぐれていた肉のまわりを優しくなぞっただけで、もどかしさに揺れる瞳とかち合った。初期の威勢はどこへ行ったのやら。ここまでの変わり様となるとわざと演技でもしているのか疑ってしまうほどに女の、名前の乱れぶりはひどいものだった。
 自分の体がとても敏感なことを知らなかったのだろうか、アーサーがもちもちと吸いつくような肌触りを堪能し始める前の、不遜な態度と比べてあげたい。
 中から愛液をかきだすようにぐちゅぐちゅにほじる指と、ぬるぬるのクリをちゅるんっとつぶす舌が速さを変えて名前を追い立てていく。常時であればあわれみを抱くような悲鳴も、この卑猥に満ちた空間ではアーサーの興奮を駆りたてる材料にしかならない。視界の端に映る太ももがピクピクと痙攣しだし、ひときわ高い絶頂感が彼女を襲おうとしているのはこれまでにない怯えようからも理解できた。アーサーは膣を叩く指をズリュと抜きさり、ぺろっと名残惜しくもクリトリスに別れを告げる。最後のひと舐めがかなりの刺激となって名前の体に電流がほとばしるのを観察しながらてらてらと艶めく唇をぱっくり食べてしまった。
 憤慨するような声があがる。初めての絶頂のあと、柔らかそうな名前の唇に引き寄せられたアーサーを拒否してこれは大悪魔様に捧げるからダメだとぷりぷり怒っていた姿すら懐かしい。柔肌に負けず劣らずふっくらと丸みを帯びた唇は上から襲いかかるアーサーの口になすすべもなく犯されていく。いつかの花芯を舐めるような繊細な加減で下唇の端から端までなぞったかと思えば、気まぐれに上唇をくわえこむ。歯を立てられた衝撃にひるむ彼女の隙をついて得意の舌を咥内に潜りこませる。
 名前の指は遠慮なくのしかかる男の体を必死に押し返そうとするが、アーサーは全く気にしていないどころか気づいていない。ただ、嫌がっているのは彼女の舌の動きからも分かるので、彼はらしくもなく彼女の頬を両手でおさえつけると反発するソファに押しつけるようにして抵抗をかき消していく。それでも名前は必死に首を捻ろうとしたり、しまいにはアーサーの髪の毛を引っ張ったりしたのだが、だんだんと少しずつけれど確実に歯列をなぞり力の入らない舌に巻きつく男の技量にのまれていく。やがてぴちゃぴちゃとくぐもった水音がリビングを支配し始めると、名前のぐずぐずになってしまった体は自分でも訳がわからなくなっていく。

 舌を絡めながらうすく目を開いたアーサーは、下がった眉尻から名前の力の抜け具合を察すると、既にくつろげていたスラックスの間に手を伸ばす。硬く反り立つ己の熱がいつもより興奮している。掌を這わせば血流が脈打ち、筋となって浮き出ているのが伝わってくる。過剰なまでの自信はどうあれ、この淫魔に妙に惹きつけられるものがあるのは真実だった。

「腰、あげて」

 ほんの少しだけ唇を離して宣言する。そこで自分の息が驚くほど熱っぽいことに気づいた。最後までするつもりなんて、なかったのに。余裕綽々な態度を少し反省してもらったら警察を呼ぼうと思っていたのに、これではアーサーも共犯だ。彼には女性の痴態を前にして自制できる自信があった。無理に誘われても、強引な流れに持ちこまれても、上手く断ってきた。
 それがこのザマだ。アーサーは決して自惚れた男ではなかったが、興奮している現状とはよそに思い上がっていた自分をこっそり反省した。

 名前の足を上げさせると、薄明かりの元に晒された蜜濡れの媚肉に先端を絡ませる。ぶるり、太ももの裏が震えるの眺めながら入り口を広げるように亀頭を使って掻きわけていく。暖かい膣穴が優しくアーサーのものを包みこんでくれた。肉棒のかたちに沿ってまとわりつくような肉襞の感触に珍しく奥歯を噛む。
 眼下には異物感に苦しむ名前が、必死に息を吐いている。申し訳ないと思う反面、腰はゆっくりと彼女の奥を暴きにかかる。明け透けに言ってしまえば、とても気持ちが良い。不感症ではないものの、男女の営みにどことなく淡白であったアーサーの理性が腰を叩けと命じてくるほどには、名前の抱き心地は最高だった。まだ律動を始めてもいないのに確信を持てる時点で、男は体の相性の良さを認めざるをえない。
 これが人外の為せる魅了の力だとしたら、アーサーはまんまと罠にかかってしまったことになるが。

 竿の半分辺りまで進行したころ、アーサーの下で名前がまたごにゃごにゃと文句を並べ始めた。曰く、それ以上は無理だの、はやく射精しろだの、やや強引に事に及んでいた彼の罪が軽くなりそうなほどに身勝手な主張の数々だった。このタイミングで、そこまで強気に出てこられるともはや煽っているようにしか聞こえない。
 アーサーは睨み上げる名前に対して、自然と穏やかな微笑を浮かべる。責める口実を作ってくれたことに感謝しなければ。

 一度、ずるずると陰茎を抜いたアーサーはその過程でとろり瞳をふやけさせている名前の頭を撫でながら、彼女の秘所を真上へ向けさせた。足が名前の顔の近くまでやってくるほどに、恥ずかしいところが丸見えになった姿であったが当の本人は頭の上に疑問符を浮かべてばかり。
 アーサーは華奢な体に思いきりよくのしかかると、まだ少し開いている膣口にズチュン、と勢いをつけて太ましい陰茎をねじこんだ。
 潰れた猫のような悲鳴が飛んできたが、痛みによるものではないと判断すると、間髪入れずに律動を始める。快楽から逃げないように名前の体をほどよく押しつぶしながら、聞こえてくる嬌声に身をまかせる。それでいてアーサーは亀頭が奥の気持ち良いところをたくさん擦ってあげられるようにと明確な意思で腰を叩きつけていた。立派な太さに合わせて精一杯に口を開いて受けとめている、そんな健気な膣を嘲笑うかのように容赦のない打ちつけが名前のなかを掻きまわす。重力を借りて上からパチュンッパチュと抉られるたびに愛液が飛ぶ。激しすぎる動きに戸惑う膣の入口が、待ってと言わんばかりに必死にアーサーのペニスに吸いつく。

「ん、気持ちいいね」

 グリグリと膣穴を拡げるように腰を揺らす。ぶるぶると声を失っている名前を抱きこみながら、アーサーは柔い息を吐いた。



 特に絶倫というわけではなかったが、我慢するのは得意だった。名前を淫魔と認めた今、精を吐きだしてしまったが最後、彼女は眠ってしまうだろうと憶測を立てたアーサーは自身に抑制を覚えさせることにした。かなりの時間をかけて雄のかたちを覚えさせ、飽きてきたら体位を変えてみる。欲しがっている精液はお預けのまま、四つん這いの姿勢で後ろから突いてみたり、軽々と彼女を抱きあげて立ちあがった状態で深くさしてみたり、最終的には寝室で尻尾を触ってあげながら騎乗位をさせると非常に良い反応をした。
 どうやら本当に余裕がなくなると媚びてくるタイプだったらしく。理性が溶けきったあたりで、生意気な物言いと不法侵入についてぐしゃぐしゃになりながらも謝り、最終的には自らキスをねだってくるようになった。
 アーサーは完全に熟知した名前の尻尾の弱いところを指で挟むようにさすりながら、唇を小さく開いて口付けてくる彼女を受けとめる。性を司る悪魔と豪語する割にはへたっぴな舌使いだった。
 震える舌に絡んで少し強めに吸ってみると、引きつってばかりいるおまんこがビクビクとアーサーを締めつける。

「(あ、キスだけでイケたのか)」

 男もある程度の判別を失いかけていた。女体が相当に感じているのを妙に感慨深く思いながら、ちゅぽんっとペニスを抜いて名前の体の向きを変えさせる。何度目かになる背面座位を強制すると、衰えない勢いの良さで下から突き上げた。
 名前の子宮もすっかりアーサーを受けいれ、彼の型になってしまった膣内はそれでも愛液を滴らせる。貪欲に熱塊に絡みついては恥ずかしい水音をわずかに明るくなってきた寝室に響かせる。しかしここまで貪りつくされて名前は何故か体を捩りはじめた。アーサーから逃げるように、急に律動を嫌がりはじめる。その反応は彼に確信を抱かせた。ずちゅ、ずちゅっと主張するペニスが足掻く名前を引きとめる。逃げることも暴れることも許さないと彼女の体に埋まった男が叱りつけた。

 名前はこわくなって泣いた。とてつもなく大きな力が彼女の体の主導権を奪いにかかる。それをもたらしたのがアーサーだと分かっていたからこそ、涙がとまらなかった。だって、絶対に敵わない。痙攣する太ももを止めることもできず、ひたすらこわいとぐずりながら、出てはいけないものが股間から激しく吹きでてくるのを感じていた。

「上手に出せたね。大丈夫、何も恥ずかしくないよ」

 すっかり放心している名前の耳元に甘いキスを送りながら、アーサーは熟した肉穴に力いっぱいペニスを叩きつけていく。女の足先がびくんと揺れた。奥の一番感じやす場所をコツコツ叩くと合わせて潮がリズムよく飛びでてくる。うわごとに近い喘ぎをかわいそうに思いながら、揺れる腰が名前のお尻とパンパン音を奏でる。シーツを掴む彼女の指を自分のものとすげかえて、指の付け根同士を絡ませながら、小刻みに息を吐いていく。

「ご褒美を、あげるべきかな」

 繋がっている証、膣周りの肉とそこに埋めこまれたペニスとの境界を軽く撫であげる。ふやけていた尻尾が波打つのを目に入れて、アーサーはグンッと腰を押しだした。
 パチンッと名前の柔肌が一際高い声を上げる。ぐっぐっとこれでもかと押しつけて必然的に怯える気配を察して女の胴体に腕を巻きつける。やや強引な力で彼女の体を己が中心に縫い留め、白濁したものがドクドクと溢れながれ名前のお腹を満たしていく。

「ね、名前。美味しい?」

 余裕のない囁きを名前の耳元に落とす。途端に首の後ろにかけて朱色に染まる。
 膣から子宮にかけてドクドクと満たされていく白濁は淫魔の名前があの手この手でアーサーから引きだそうとしたものだったが、今の彼女の答える元気はなかった。

 ふと、いつもより量が多いことに気づいた。アーサーの射精に合わせて絶頂したヒダが際限なく竿を締めてくるせいで、なかなか止まってくれない。冷静になるには早過ぎる頭がぼんやりと現状を観察している。
 困ったことに熱流を感じとった腰がピクピクわななくたびにもっと奥へ押しこみたくなってしまう。孕ませたい願望があるのではなく名前の反応を見たいがために陰茎を擦るようによじらせてみたアーサーは覇気のない悲鳴を耳にしてからようやく我に返った。

「(なんてことだ。これでは変態だ...)」

 もう散々あれやこれやといじめ抜いた過去のあれらは、彼からすればセックスにおけるコミュニケーションの一種でしかない。吐精をしきった今、優しくフォローしてあげるべき場面であろうことにも欲望を優先してしまうなんて。
 切り替えられていない自分の欲望にひっそり衝撃を受ける。

 しかし、それでも。
 アーサーはため息とも異なる熱気を口から吐いて頭を抱える。

 稀に見る開放感が満遍なく体に行き渡っている。両肩に重くのしかかっていた疲れがさっぱり消えて、あとはあたたかい枕さえあれば今夜は深い眠りに落ちていけるような気がした。
 睡魔が限界を訴えているところにひんひんとすすり泣くような懇願が聞こえてくる。

「ひっ、ぁ、あッ、いっぱ。おなか、いっぱいだからぁ....、抜い、て。おねが、抜い」

 涙にまみれぐしゃぐしゃになった顔に八の字が描かれている。アーサーが理解できるのはそこまでだった。

「うん」
「あっ、や、っ、まだ、はいってッ...のに、」

 アーサーはどうして湯たんぽが暴れているのか不思議に思いながらも確認する余力も、手放すつもりもなかった。
 積もりにつもった疲労が、どう足掻いても意識を保つことを許してくれなかったのだ。何かと離れたがる温もりを逃がさないよに引き寄せてポスンとベッドに横たわる。

「なんだか、よく、眠れそうだ……」
「や、ばかっ、ばかぁ〜!はなせよぉ!」

 彼の解放感たるや。体を蝕んでいた呪縛から解き放たれたとでも言いたげな清々しさに溢れていた。
 あどけない寝顔が深い眠りの底にいるとを教えてくれる。アーサーは生まれてこの方、ようやく快眠の味を知ったのだ。
 そう、まるで憑き物が取れたかのようなーーー




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