視聴者Yと友人H


「土曜の8時はふったごラジオ〜土曜の8時はふったごラジオ〜」
「ユウリ何か楽しそうだな!」
「うん! 今日の8時から好きな配信者さんのラジオでねすっごい楽しみなの!」

 そうなのか良かったな!と自分と同じくニコニコするホップにユウリは更に気分を良くする。
 カレーづくりの後片付けを終え、座ってくれと言わんばかりの切り株に座るとスマホロトムがこちらにやってきた。もうすぐ8時、ラジオの時間だ。となりに座ったホップもこちらを覗き込んで一緒に見る。

『おこんばんわ〜生放送ラジオの時間ですわよ〜』
『おこんばんわ〜』

「ギャー! 始まった!!」
「ユウリ、うるさいぞ」

 おだって叫び声を上げたユウリにホップは顔をしかめる。どうどうと宥めながらユウリを座らせ再び視線を放送に戻す。
 動画は紙芝居形式で各スライドに文字が書いてあり、それに沿って内容を進行しているようだった。シュールでゆるゆるな会話を繰り広げる双子や流れてくるコメントにホップはくすりと笑う。
 となりの友人を見てみると時々胸を抑え、ホップの服の裾を握り締めていた。伸びるからやめてほしい。

『『双子ちゃんたちはどの地方を旅したことがありますか』だってよ』
『んー、シンオウは当然回っててカントー、ジョウト、ホウエン、イッシュ、カロスは行ったよねー』
『カントーのナナシマとオーレ地方とアローラ、ガラルはまだ行ってないか』
『また旅に出たいですなー』

「ロトム!! カモン!」

 突然声を荒げるユウリに、見やすい位置に配置していたスマホロトムがユウリのもとへ来る。血走った目をしながらスマホロトムを操作するユウリにホップはちょっと引いた。

「ふいー完了」
「何してたんだ?」
「ん、コメント入れてたの。もしかしたら読んでくれるかなーってね」
「へー」

 先程の友人の恐ろしいくらい必死な姿をホップは心に仕舞って何も見なかったことする。周囲が暗いため、スマホロトムの明かりがユウリの顔を怪しく照らしており非常に怖い。

「ちなみに何てコメントしたんだ?」
「気になる地方はありますかーって」
『ん、コメントで気になる地方ありますかーだって』

 コメントが読まれた瞬間、ユウリはおかしな方向に身体をねじ曲げ奇声を上げる。
 友人がどうしてこうなったのか。もともとそういう素質があったのか。ホップは遠い目をしながら、ブリッジで岩の周りをぐるぐる回る友人をどう正気に戻すか考えることにした。

「オシ、コメントヨム、ワタシ、シヌ」
「ユウリー、まだ開会式すら始まってないジムチャレンジのこと忘れないでほしいぞ」
「あい……」

 『また1週間生きられる』そうコメントを打ち込み、ユウリは友人にテントまで引きずられていった。

 


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