蜜色の夜に
暗い、闇が空間を包み込んでいる。俺は近くに降ろされた紐を摘んで下へ引き下ろした。カチリという小気味好い音が鳴ると、柔らかなオレンジ色を帯びた光がすぐ近くで灯り、暗闇に沈んで姿を隠していたソレの輪郭を浮かび上がらせる。こんもりとした、白い小さな山。手を伸ばして触れれば飛び上がって、更にその大きさを縮めてみせた。新種の生き物でなければ、俺の部屋に突如現れた怪異でもない。白い塊の正体は分かりきっている。
「純也、これじゃあ顔も見えない。」
呼び掛けた白い塊、もといシーツに包まった純也はプルプルと小刻みに震えたまま。普段の純也なら俺を無視するなんてまずしないことだ。俺は少し考え、ベッドの背側の壁に身体を預けると、シーツおばけになった純也の脇の辺りを掴んで引き寄せた。足の間に収められた純也はモゾモゾと抵抗のような、そうでないような動きをしている。拒絶すればいいものを出来ないでいる、全くもって純也らしい反応だ。だから悪い輩に付け込まれるんだ、例えば俺みたいな。
シーツを無理に剥がすことはせず、大凡純也の耳があるであろう辺りに狙いをつけて、その耳殼を甘く喰んだ。突然触れた生温かい感覚にまた驚いたのか、シーツの奥の純也がわーだとかうーだとか、色気のない小さな声を上げる。
「純也、せめて顔を見せてくれ。ほら、何もしてないだろう?」
抱き締めているのはご愛嬌だ。それくらいは許してくれるだろう。宥めるように純也の腕を撫で下して、囁きかける。本人に狡いと言われそうだが、純也は俺の声を一等気に入ってるらしい。利用しない手はない。目論見通り、耳に寄せた声と言葉に純也は反応を示した。普段から俺の声や言葉に安心するように、自ずと信頼して貰えるように、わざと言葉を選んできた。場が変わっても効果を発揮してくれるのは僥倖だ。
おずおずといった様子で頭のみシーツから出した純也。その目つきはまだ胡乱げだ。無理もない。純也がロクに抵抗も出来ないうちに寝巻きを剥ぎ取ったのだ。上下に分かれていただけのそれは容易く奪え、今や純也は残った下着だけでも守ろうと必死になっている。
「いきなり脱がすなんて聞いてない…。」
「ほう…。先に言っておけば許してくれるのか?じゃあこれからすること全部教えながらやっていこう。まずはその尖らせた唇にキスをしたい。」
「りょっ、了承取ってってば…ンッ…も、兄さんっ!」
反論を流すようにバードキスを繰り返しながら、シーツを握りしめていた純也の両手を解く。邪魔者がはらりと落ちて、純也の少し薄い肩が仄かな光の下に晒された。背中越しに抱き込んで、脇から潜らせた右手で純也の顎を捉える。クイと掴んだ純也の顎を引き寄せて上向かせると、テロリと艶っぽく光る舌が唇の隙間から覗いた。手練手管も未だ無い純也がそんな真似しているわけがないのだが、まるで誘うかのようにしとどに濡れている舌に酷く唆られる。吸い寄せられるまま唇を合わせた。水音がお互いの口内で跳ねて骨を伝い、耳奥に反響する。逃げ惑っていた純也の舌を漸く捕らえると、降参したのか拙い動きで応えてくる。応えてくれて嬉しいと伝えるように輪郭を掴んだ指の腹で優しく撫でる。純也は気持ち良いのか小鳥がそうするように、ウットリと瞳を細めた。キスで宥めている隙に、残った左手を脇腹に這わせ、未だ下肢を守っている灰色の下着に手を掛ける。汚しても悪いと思い、一思いにずり下げた。膝で弛んで留まってしまったが、これで身動きが取りづらくなったに違いない。足に中途半端に蟠った下着に純也は案の定居心地悪そうに身動いでいる。我に帰ってしまわれる前に、差し入れた舌先に夢中になればいいとキスを深めた。必死になって舌を押し返す純也を制しながら、僅かに兆していた彼の半身に指をかける。
「あっ、兄さ、待って…あっああっ…。」
「…ちゃんと反応してくれてるみたいで安心した。折角だ、俺の手で一度イッてみないか?」
「やっ、ダメだって…うぅ…、あっあっ…。」
先走りを指先で絡め取って、竿全体に塗り込める。右手で先を包み込んで、くるりと鈴口を親指で刺激する。亀頭への強い刺激に純也はかぶりを振って快感を逃がそうとしているようだが、さらに強く後ろから抱き締めて逃げ場を奪っていく。もっと乱れる姿を俺に見せて欲しい。
「逃がさなくて良い、そのまま…受け入れるんだ。…そう、要領が良いな、純也は。」
「んっ、ううっ…あぁ…!はあっ…ンンッ………!」
純也の声を遮らないように唇は解放した。快感に翻弄される義弟の声を、一つも残さず記憶しておきたい浅ましい心がそうさせる。
純也の両手は声を抑えようと一度は口元へと泳いだが、半身を弄ぶ不埒な人間の手を抑えることにしたようだ。お陰で純也を嬲る粘着質な音と、彼の甘やかな嬌声が部屋に充満している。
追い討ちをかけるように包み込んだ手のスピードを速める。純也は大きな声を上げることなく、絞り出すかのような喘ぎ声を零して吐精した。乱れて尚、俺の弟は控えめなようだ。その様が何とも唆られて堪らない。
腹に散った白濁をさっとベッドサイドにあったティッシュで拭ってやる。適当にその場に丸めたティッシュを転がして顔を覗き込んだ。ついでに足元でいつの間にか完全に脱げてしまった下着は、ベッドの下に追いやっておく。
肩で息をする純也の目は、達した倦怠感で虚ろに俺の顔を映した。それすらも扇情的で、一人追い詰められるような心地を得る。それを誤魔化すように、目の前の荒い息を零す背を宥めた。
「ン…上手に出せたな純也。しかしどうせならもっと声を出したって構わないぞ。」
「そ、そんなこと出来るわけないじゃないか!も、兄さん、僕ばっかりこんな…。」
「良いんだ、俺がお前にしてやりたいんだよ。」
「兄さん…ぼ、僕だって兄さんが望むならちゃんと応えたい。」
「純也…!」
「だから、もう少しゆっくり、進んで……。ね?頼むよ。」
後ろから抱え込んでいた俺の両手をやんわりと下ろして、純也は向かい合うように座り直す。ゆっくり、と純也は言った。拒絶されたわけではないことにヒッソリと胸をなで下ろす。
「悪かった」と額に唇を落とすと、純也は人好きのする微笑みを浮かべて、キスを返した。
「僕、…きっと兄さんと抱き合ったら女の人役だろうなって思ってたんだ。兄さんを抱きたいな、とかそういう想像はあんまり浮かばなくて…。」
「ん、そうか…。お前には悪いが、俺はずっとお前を抱きたいと考えていたからな…。だからそう考えてくれてたのは正直有難い。」
「えと、なんか改めてそう言われると恥ずかしい、な。僕どう見ても男だし、職業柄人より身体鍛えてる方なのに。兄さん変わってるよね。」
「変人とはよく言われるからな、慣れたもんさ。それとは別に、純也は俺にとって特別だ。」
「ありがとう…嬉しい。」
ふわりと笑う純也に釣られて笑みが浮かぶ。愛おしいと叫ぶ感情と伴って、やはり腕に掻き抱きたい衝動が頭を擡げる。純也が女性役に回ることに異論が無いようで安心した。こればかりは純也に幾ら甘い俺でも、譲れない案件だったばかりに、本人から了承が貰えたことは僥倖だ。折角昼間純也を置いてリサーチに行ったあの時間が無駄になることはなさそうだ。
僅かに緩んだ空気を飲み込んで、向かい合っていた身体をベッドへと押し倒す。意図に気づいて目の前の肢体が強張った。それを解すよう、外気に触れて縮こまった胸の飾りへと舌を伸ばす。流石にまだ擽ったいとしか感じないようで、純也は俺の髪に指を通し、かき混ぜたりして遊ぶ余裕があるようだった。
「兄さん、何だか赤ちゃんみたいなことするね?」
「胸は男のロマンじゃないか。」
「そ、そうなのかな?それにしたって.ひゃっ、も、そんなとこ舐めても何も出ないし、柔らかくもないのに…!」
「俺が楽しいんだ。」
女性とは違って確かに包み込まれるような柔らかさには遠い。それにどちらかと言えば純也は肉付きの悪い方だ。それでも淡く色付くそこを舌先で転がせば、ぷくりと膨らんで天を向いた。片側も舌の動きを真似るように指先で揉んで、時折キュッと摘んでやる。同時に少しだけ歯を立ててみる。弾力が心地良くて歯ざわりも悪くない。チラリと盗み見た純也の様子も、少し刺激が強いのがお好みなようだ。唇を噛み締めて眉根を寄せつつも、興奮したように吐いた熱い息が俺の髪を揺らす。柔らかく舌先であやす様に舐めながら、僅かに噛むを不規則に続けていると、吐精で萎えていた純也の半身が再び元気を取り戻し始めた。なかなか加減が良いようで、此方としても楽しくなってくる。
夢中になって胸ばかりを責めていると、焦らされていると思ったのか純也に引き剥がされた。俺の舌先から銀糸が伸びて、純也の生白い肌に散る。その濡れた刺激すら性感に変わるのか、目の前のピンクに色付いた頂きが震えた。誘われてまたチュッと唇で覆えば、溜まらないとばかりに頭上から声が上がった。
「ンン…あ、ああっ。に、兄さん…胸ばっかり、辛いよ…。あんっ…離して…。」
「…その割には気持ち良さそうだと思うが、そうまで言うならこのくらいで赤ん坊ごっこは止めにするとしよう。」
「うう…赤ん坊はこんなしゃぶり方しない…。」
「そりゃあそうだろう。赤ん坊じゃないからな。れっきとした、いい歳した大人の男が、お前の胸を弄んでたのさ。」
「兄さんのその現状を淡々と説明してくれるところ、今は本当に恥ずかしい…!」
「ふふ、それは悪かった。しかしこればかりは癖でね、どうにもならん。」
からかうように普段より腫れてしまった乳首を摘まむ。すると純也は面白いくらいに飛び上がって、両手を交差して胸を隠してしまった。ますます面白く感じて思わず笑い声が溢れる。キッと彼には珍しい強い視線と拗ねた顔。それすら愛おしく感じてしまうから世話が無い。
ともあれこれ以上機嫌を損ねると今夜はもう相手をしてくれないかもしれない。それは俺も辛いので、再び顔を引き締めていよいよ純也の核心へ触れようと手を伸ばした。
「純也、先に確認しておきたいことがあるが…男性同士の性行為において最終的に何処を使うか、というのは流石に分かっているな?」
問い掛けにおずおずと純也は首肯してみせる。その顔は先のことを予見してか、青白さと紅潮が同居していた。望んだこととはいえやはり気の毒に思えて、嫌ならここで止めてしまっていいんだと言ってしまいそうになる。だがその言葉は純也の声によって遮られた。
「…う、ん。そのくらいはちゃんと、覚悟はしてたから。」
「……そうか、それは良かった。しかしだ。恐らく俺が知ってることと、お前が知ってることでは差があるはずだ。ここは後学の為と、恐ろしさの軽減も兼ねて少しずつ説明を織り交ぜて行くことにしよう。」
「説明をされながらするの!?」
「うん?また雰囲気が無い、か?まあ、初めてだからな…その辺りは次回からにしてくれ。気楽にうつ伏せになって聞いてくれていればいい。」
言い終えて仰向けになっていた純也をひっくり返した。勿論今、純也の素肌を守るものは何も無い。正真正銘生まれたままの姿だ。うつ伏せになった先、つるりとしつつも角張った尻が目に入る。事を進めるために純也の男性にしては細く薄い腰を持ち上げる。その下にクッションを差し込んだ。腰にかかる負担を考えて使ったのだが、自然と尻を突き出す形になり、居心地悪そうに視線を彷徨わせているのが見てとれる。 恥ずかしいよな、分かるぞ、と声をかけそうになるが、それを強いているのも自分だ。それに…弟のそんな姿にすら、息が熱を持つのを止められない。
「あの、兄さん。」
「どうした?怖くなってきたか?純也がどうしても無理なら今日は…。」
「そうじゃない、そうじゃなくって。」
純也は慌てた様子で首を横に振り、全力で否定してくる。てっきり今日はもうここで止まってほしいと言うかと思ったが…そうでないならなんなのだろうか。進めていいなら早く進めてしまいたい。落ち着いてみせてはいるが、此方としてもそろそろ辛いというのが本音だ。これまでの痴態に煽られて、自分でも分かるくらいに心臓が拍動している。長年夢想してきた光景に、純也には教えることが出来ないほど興奮していた。
純也に隠して人肌ほどに温めておいたローションのボトルをそっと手元に引き寄せる。ボトルを手で玩びながら言葉を待つが、言い淀んでいるのかなかなか返事は来ない。つい焦れてしまい、そっと覆い被さるように背から覗き込んだ。
するといつか彼自身に言われた、欲に塗れた視線という言葉が似合う、しっとりと濡れた瞳が俺を捉えていた。鼓動が更に速まるのが分かる。自慰を覚えたての頃、想像していたよりも遥かに綺麗で、それでいて何倍もいやらしい、義弟の視線。瞬きの音すら聞こえそうな距離で、純也はまるで懺悔でもするかのようなか細い声を出した。
「兄さんも、裸になってほしい…。」
「…俺は別に、何処を弄るでもないからこのままでも構わんさ。」
「違うんだ。その…僕が、僕も兄さんの身体が見たい。」
予想外の言葉にゾクリと背が粟立つ。あの純也が俺を見たいと、瞳を溶かして懇願している。
ーーーー堪らない。
上半身を覆っていたシャツを脱ぎ、ベットサイドへ投げ捨てる。見たい、という言葉通り純也は身を起こして俺が脱ぐのを待っているようだ。下へ手を伸ばしたところで、すでに主張し始めている半身が目に入る。だが今更躊躇っても仕方ないだろう。相変わらず純也の視線が痛いほどだが、そのまま下も脱ぎ捨てた。
とっくに兆していた俺を見て、純也は困ったような、嬉しそうな、奇妙な表情になっていた。百面相をしながらもごもごと唇を動かしてはいたが、何か言うでもない。言えないならばと噛みつくようにキスで塞いで、またうつ伏せてベッドに縫い付ける。腹下へと差し込んだ枕に埋まっていた純也のモノも膨れ上がっていたので、俺のこんな身体でも彼にとっては思うところはあったようだ。また嬉しさが滲んで顔が崩れるのが分かった。
ぺとりとローションで濡れた手で尻を掴んで、グイと割り裂く。今後に響くだろうココは念入りに解しておく必要がある。濡れた感触に純也の身体全体が震えた。怖がらせないよう、そろりと人差し指で縁を馴染ませるように撫で上げる。そしてゆっくりと指を侵入させた。
「純也、まずは第一関節までだ。分かるか?」
「こ、これで、第一関節まで?嘘でしょ…うう…。」
「人より俺の手が大きいのもあるが…ゆっくり進めるから怯えなくていい。…気がまぎれる様にもする。」
「え、あっ、兄さ…胸やだって…ンッ…あッ…!」
ぐぬぐぬと音を立てて後腔を押し広げながら、空いた左手を再び胸へと伸ばした。背中からのしかかる様に純也を抱きとめ、無遠慮に左手でその身体を撫で回す。快感を逃がそうと純也の爪先がシーツの海を泳ぐが、その隙に広がった足の付け根の奥へと、更に深く侵入する。
「今一本入りきったところだ。ん…純也、すごいじゃないか。…ほら、次は2本目だ。」
「ンッ…!あっあっ…!んぐっ…あっ、はあっ、はーっ…!」
圧迫感ともどかしい快感から純也は枕を噛み締めて耐え始めた。息が詰まりそうな姿に背を撫であげて落ち着く様促す。合わせて突き入れた指先も一度馴染ませる様に動きを止めた。止めたことによってうねる肉壁の動きがまざまざと伝わってくる。体表より遥かに熱を持って俺の指を咥えこみ、限界だと言わんばかりに張り詰めたココに、これからもっと太いものを挿入しようというのだ。自然と息が上がっていく。純也にかける言葉が自分にも返ってくる。
「息を止めたら苦しいだろう?深く吸って、吐き出せ。呼吸が落ち着けば、自然と頭も落ち着いてくる。」
「う、うん…はぁ、んっ…はあ…。」
「…ああ、上出来だ。そしたら少し腹に力を入れてくれないか。」
「へっ?こ、こう…かな?あっ、ちょ、兄さん、奥に…!」
「ああ、これで奥に入りやすくなった。やっぱりお前は飲み込みがいいな。」
キュウと締まっていた後腔が綻んだところを、二本の指を使って上下に拡げた。その隙にローションを足し、更に中へと擦り付ける。確かな快感は得られないものの、粘膜と粘度の高い液体が擦り合わさる感覚が気持ちいいのか、純也の肩がピクピクと震える。悪くない反応だ。火に炙られるようにジワリと浮かぶ悦びに純也が馴染むよう、何度も何度も擦り付けかき混ぜた。丹念に解きほぐしつつも震える肩へと噛み付けば、甘く指を締め付けてくる。甘噛みを繰り返し、胸への愛撫を織り交ぜれば、純也の声も甘さを孕んだ。耳に心地よいそれをもっと引き出してやりたい。遠慮がちでなく、良い子の純也が、悪い子になるように。早く、俺が教えてやろう。
更に指を増やす余裕も見え、そろりと紛れ込ませて三本目も挿入した。バラバラと動かした先、柔らかく膨らみ主張する箇所が一点、指先を掠めた。まだ純也はソコに触れれることによる快感は得ていない。これから、俺がそれを純也に与えるんだ。
見つけた膨らみを一定間隔に指でノックする。今までの馴染ませるような動きとは違う、別の意図を持って動き始めた指先に純也も気付いたのか、ちらりと枕へと埋もれていた視線が絡んだ。
「兄さん…あっ…今は、何…ンンッ…してるの?…んっあぁッ…!」
「ここは前立腺といって腸内に入ってすぐ、割と浅い位置に存在している器官でな。後ろを使った性交をする場合、女性役はここで快感を得るのがイイそうだ。慣らせば前よりも強い快感が得られるらしい。健診などでも癌が無いか調べる場合、こうやって触診するそうだが…特にしこりも無いし、柔らかく膨らんでる。お前は大丈夫そうだぞ。」
「に!兄さん!だからそういう発言を…!あっ…!?な、何?なんか…変な感じが…ぁうっ…!」
「慣らせば、と言っただろう?ああ、そういえば、ここの更に先に進んだ腸襞を使った快感の得方もあるようだが…。其方はリスクが更に掛かる、当分先だ。まずはこの感覚に慣れてもらうのが一番だろう。ほら、純也、ちゃんと気持ちいい感覚を追っていくんだ。ぐっと…咥えて、離して…。」
「や、兄さん、そこなんか…あっ…じわじわする…!ひっ…え、嘘、あっあンンッ…!?」
ぐっと今までより強く押し込んだ膨らみに呼応して純也の腰が持ち上がったと思うと、ビクビクと震えて崩れ落ちた。感じ入るように小刻みな痙攣を繰り返しているのが分かる。やはり前で上り詰めるのとは別の快感なのかもしれない。ともかく無事に後ろでも気持ちよくなれたようで何よりだ。快感によって適度に、というか思った以上に柔らかく口を開けたソコに、自分の唾を飲み下す音が響く。そろそろ頃合いじゃないだろうか。
差し入れたままの指でグンと孔を拡げる。ドロリと中にまたローションを継ぎ足した。コポコポと音がしそうなくらいだが、滑りが良いに越したことはない。入り込んだ液体の感覚に純也が唸る。あとで怒られてしまいそうだが、血を見るのはお互い御免だろう。もう少し余裕があった方が良さそうな気もするが、此方も指同様慣らしつつ進めることにした。
ベッドサイドからスキンを一つ取り、手早く被せる。後ろからの方が楽とは昼間の時に聞いていたこともあり、左手を純也の腰へと据えて、右手で支えた先を後腔に突き立てる。純也はまだ息が整わないようで、玉のような汗が浮き上がった背中をしならせていた。汗を辿りながら背中を舐め上げて、首筋へと上り詰める。
「純也…そろそろいいか?」
「あ…んはぁ、はぁ…兄さん、…前、前からがいい…。」
「…後ろからの方が体勢としては楽だぞ?いいのか?」
「それでも、いいからッ…!兄さんと、してるって、ちゃんと…感じたいから…。」
「ふふ、そうか。…俺もだ、前からにしよう。」
二度目の吐精でグッタリとしている純也の肩を抱き上げて、そっと仰向けに横たえる。改めて真正面から捉えた純也の様相は、何処もかしこも濡れそぼっていた。口元や鼻はいっそ汚いほどだというのに、唆られて仕方ない。べろりと汗と何かで濡れ尽くしたその顔を舐めとってやる。純也は俺の首の後ろに手を掛けて、甘やかすように擽ってきた。俺は犬か猫か?と思いつつそれでも気分がいい。純也に甘やかされるのも悪くない。
「兄さん…もう大丈夫だから。」
「ン…。」
「ん、って、兄さんてば…緊張してる?」
「柄でもないが、そうだな。純也、愛させてくれるか。」
「はは、今までも十分愛してくれてるじゃない。大丈夫、ほら、来て兄さん。」
両足を割り開かれて苦しいだろうに、それでも純也は腕を伸ばして俺を抱き留めた。招かれるように純也のナカへと入っていく。うねる熱さに普段の純也とのギャップを感じてしまう。眼下には堪えるように瞼を閉じる彼がいる。目の裏がカッと熱くなる思いだった。自分本位に押し入りたい気持ちを噛み締めて、ゆっくりと包まれていく。たっぷり差し込んだローションも手伝い、順調に奥へ奥へと進んだ。最奥へと辿り着く頃には二人して息も絶え絶えになっていた。理由もなく汗が噴き出して止まらない。荒い息と濡れた声が部屋に蟠り、お互いの五感全てを狂わされそうだ。張り付いた髪が鬱陶しい。グイと後ろに寝かしつけると汗が散った。純也の顔にも飛んでしまったらしく、閉じていた瞼を押し上げてキョトンとしていた。
「…兄さんすごい汗じゃないか、大丈夫?」
「ン、生理的なものだから安心していい。…案外余裕そうじゃないか。」
「い、今は何も弄られてないし、動いてないから、平気。」
「そういうものなのか。」
「そういうものみたい。ふふ、だからこうやって逆に余裕のない兄さんが見れたりするんだ。」
そう言って俺の再び垂れてきた髪を撫でる。小さく笑いながら俺の顔の形を確かめるように指を滑らせる。口元にやってきた指先に唇を寄せれば、なお面白いとばかりに笑みを深めた。マウントを奪われたようで俺としては少し面白くない。男の矜持と重ねてきた兄としての性がそうさせるのかもしれない。今夜はうんと優しくしてやろうと思っているが、次を望めるならガブガブと噛み付いてやるのも悪くない。個人的にはドロドロに甘やかしてやるのが俺の好みだが、無意識だろうか、純也は少し無理を強いられることを好んでるようにみえる。噛み付かれて乱れる純也は背徳的でまた違う趣があるに違いない。そうして思考を飛ばしていると意図せずナカを圧迫したようで、それまで平気そうにしていた純也の唇から艶めいた声が落ちた。その様子に「動くぞ」と短く伝え、質量を増した半身をゆっくりと入り口まで引き抜いていく。押し入られるの違い、排泄に近い動作の為か抵抗は少ない。純也も善さそうだ。
「そもそも人は排泄に快感を伴う生き物だから、とも考えられる…かっ!」
「あんっっ…!」
ソコが元居た場所だと言わんばかりに、一度ズブリと最奥を穿つ。そのまま穏やかな速度を保ちつつ、今度は主張しているであろう膨らみを探した。指で探った時と同じく、切っ先で撫でるように浅い部分を出入りする。ぬかるんだ肉の感触を味わって、天井を攫うようにかき混ぜると目当てのものが引っかかった。そちらに照準を定めて追い上げると、目に見えて純也の声が色めいていく。イヤイヤと頭を振る素ぶりをするが、震える内壁が純也の悦びを教えてくれた。ますます追い込みたくなる。
「あっ、あっ、兄さんそこ、ダメなのに…!あ、ひうっ…!」
「どうして駄目なんだ?」
「だっ、だって…じわって、して、ぅっウゥッ…。終わっても、宙ぶらりんで、怖いんだ…!ああっ!またっ…!」
膨らみを突いて、捏ねて、潰して。それに合わせて純也は可哀想なくらい身体を赤に染め上げて喘いだ。登りつめても尚、何処かへと浮き上がる感覚が恐ろしいという。ギュウと強く絞られて純也がまた達したことを知る。もう身も世もない顔で俺にしがみついて、振り落とされまいと*いている。壮絶な光景に眩暈を覚えそうだ。これ以上達するのも酷だろう、それに俺ももう限界まで張り詰めている。俺は純也の深い部分へと潜り込んでいく。
「悪い、純也、もう少しだけ、ン、付き合ってくれ。」
「うん、うん…!」
「ありがとう、ああ、凄くイイ。純也、純也…。」
「兄さん…兄さん…あっ、あうぅっ…!んむっ、ふっ…んンンッ…!!!」
俺の言葉に達してまだ辛いはずの純也が、健気に怒張を咥え込んで締め付けを強めた。それが純也自身の快い場所にも触れるのか、また高みへと駆け上がっていく。チカチカと目の前が白く弾けて、純也のもはや閉じることを放棄した唇が目に入る。齧り付いて貪りながら、腰骨から駆け上る奔流に身を任せた。薄い皮膜越しにソレを受け止めて、純也もまた同じ場所で白んだ世界を味わった。
どうにか名残惜しい純也の蕩けたナカから這い出して、スキンをゴミ箱へと投げ入れる。不意に力が抜けてベシャリと潰れるように純也の上に伸し掛かってしまった。純也に乗り上げ過ぎないよう気張っていたが、限界がきたようだ。これではあまり意味がなかったなあだとか、鍛えるべきかだとか、取り止めなのないことを考えていた。純也はやはり俺が重いのだろう。暫く苦しそうにしていたが、モゾモゾと動いて丁度いい場所を見つけると、俺を抱きしめながら眠りについた。ピロートークだ二回戦だなんだはまたの機会だな、と年甲斐もなく期待しながら。起きたら昼間会った彼ら彼女らに礼をしよう、そんなことを思いながら純也に倣い、眠りについた。
20170610
長いことこの濡れ場話が書き終えられなくて困ってました。時間を置いたら何とか収まりついて良かった良かった。元気があれば奥でもどうにかなっちゃう純也くんを書きたいです。予定は未定。
titie:サンタナインの街角で
モドル