クリスマスについて(土蜘蛛)

妖怪にとって、クリスマスはどういう一日なのだろう。特に所謂古典妖怪と呼ばれる彼らたちにとっては。気になって聞いてみることにした。


「ほう、あの祭りはくりすます、というのか」


どうやら土蜘蛛はクリスマスを知らなかったらしい。確かに、そういうの疎そうだもんね…。でもそんなことを言えばきっと怒るに違いないから、クリスマスはどういう日なのかを教えてあげた。


「…ふむ。なるほど」
「楽しそうでしょう?」
「うむ。確かに。そのけぇき?とやらはぜひとも食べてみたいものだな」


甘党の土蜘蛛らしいコメントである。


「そしたらさ、クリスマスにケーキ、一緒に食べようよ」
「なに、まことか?」
「うん。もちろん。食べたことないでしょ?せっかくだから土蜘蛛にもクリスマス楽しんでもらいたいな」


にっこり笑えば、土蜘蛛はぽっと頬を染めたあと、「七海がいいのなら…」ともごもご口にする。こういう初な反応をする土蜘蛛は、厳つい外見によらず可愛いと思う。


「クリスマス楽しみだね、土蜘蛛」
「む、そうだな。そうだ、七海」
「ん?なあに?」
「くりすます、一緒に過ごす、ということなのだよな?」
「うん、そうだね」
「そうか…それなら、」


一度言葉を切った土蜘蛛は、逡巡したあと、そっと近寄って私の手をとった。
彼にしては珍しい。


「その…我輩から、贈り物をしたい。受け取ってもらえるか?」


目を丸くした私を見て、土蜘蛛はまた顔を赤くする。クリスマスがどういうイベントか、ちゃんと話を聞いてくれてたんだなあ。
もちろん、断るわけがない!
大きくうなずいた私に、ほっと息を吐く。その様子を見ながら、私も土蜘蛛に何かプレゼントを用意しようと思ったのだった。