わたしの話
それからというもの、私は街中で「それら」をよく見かけるようになった。
時には電柱の上、時には車の影から。
そして時々人にとりついては、遊んでいるらしい姿を目撃する。
友達の様子が何か変だな?と思ったら、だいたい「それら」が側にいるのである。
結果、私はついに「それら」を、「妖怪」だと認めた。いろいろ調べたけれど、街中で見かける妖怪たちが、どの妖怪にあたるのかはわからなかった。
でも、妖怪たちは私たち人間に何かしらの影響を与えているようだ。友達しかり、私の両親も、時にはその悪戯(?)に引っ掛かっていた。
さて、そんな私はというと、一度も妖怪たちの悪戯にあったことがない。なぜなら、このとおり彼らが見えるからである。物理的に避けることができればこちらのものなのだ(もちろん、悪戯を仕掛けようとしていた妖怪たちは不思議そうにしていたけれど)。
それでも、一度街中で遭遇した妖怪と、目があったことがある。それは少年に近い姿をしていて、マフラーのようなものを首に巻いていた。確かに、視線は交わった。彼は驚いていたけれど、私はそ知らぬふり。「偶然そこをみていた」ように振る舞った。
何となく、私が「見える」ことを妖怪たちに知られない方がいいと思ったのだ。
そうやって過ごしているうちに、初めは恐ろしかった妖怪たちも、いつの間にか私のなかの日常と化していた。
…もちろん、彼らの話を他人に聞かせたことはない。だって気持ち悪がられたら嫌だもの。妖怪がいてもいなくても、私は普通に暮らしたい。
だから、私は一人こっそり、妖怪たちを見ながらも、接触はしない日常を過ごしていた。
いたのだけれど。
「ケータくん、皆さんがいる前で私にはあまり話しかけない方がいいですよ。なぜなら、皆さんは私たち妖怪が見えませんからね!」
「うん、わかったよ」
いやいや、まさかね。
そう思ったときにはもう遅くて、私の家に妖怪が常駐することとなってしまっていた。
それは、高校二年生になった、ある夏の日のことだった。