フユニャンの尻尾

「フユニャンの尻尾って短いんだね」
「んな?!何するんだ七海!」


突然フユニャンの尻尾が気になったのでマントをめくりあげてみれば、そこにあったのはお団子みたいなまあるい尻尾だった。ちょこん、とフユニャンのお尻に乗っていて、それはとても可愛らしい。


「なるほど、短小さんかあ」
「ちょ、待て。誤解を招くだろう…」


私の手を振り払って、フユニャンがこちらを向く。見られたくないのか、マントの上から尻尾を押さえつけていた。


「え?そう?だって短い…」
「頼むからそれ以上言わないでくれ」


「俺だって気にしてるんだ、一応…」どうやら尻尾の短さはフユニャンにとってのコンプレックスだったらしい。目に見えて落ち込む彼に、私は自分の軽率な行動に申し訳なくなった。そうだよね、誰だってコンプレックス指摘されたら嫌だよね。


「ご、ごめんねフユニャン。まさかそんなに気にしてるとは思わなくて」
「いいんだ別に…どうせ俺は短小だ」


あ、拗ねちゃった。「だからごめんってー!」必死で謝るけれど、フユニャンはぷいっと横を向いて、さらにふんっと鼻をならす。昔景太がやっていた仕草によく似ていて、思わずにやけてしまった。


「何でにやけてるんだ?俺は怒ってるんだぞ」
「あはは。ごめん、フユニャンってば可愛いなあと思って」
「かっ…可愛くない!」
「あははは!可愛いよ!すっごくね」
「…好きな人に可愛いなんて言われても嬉しくない」


俯きながら、フユニャンが口を尖らせて呟く。
おおう、今度は告白までされてしまった。どうやらそれは勢いでいってしまったことだったらしく、慌てて「え、いや、その…!」と口ごもるフユニャン。何それ。かーわーいーいー!


「七海!顔が緩んでるぞ!」
「うん、だって〜」
「…可愛いって言ったら怒るからな」
「もう怒ってるじゃん」


耐えきれないほどの笑いが私の喉の奥から競り上がってくる。それでも何とか押さえて、私はフユニャンを抱き上げた。「七海?!」ああ、本当に。


「好きだよ、フユニャン」


おでこに一つ、小さくキス。

尻尾が短くても、可愛くても。
私にとっては誰よりも愛しい、存在なの。