好きな人を誘うのってけっこうエネルギー使う
昼下がりまで寝て起きた、気だるい身体。
久々の、せっかくの休日が半分以上も無くなってしまった。
昨日は嫌なことがあって、1人飲み歩いて、帰宅したままふて寝して忘れようと思ったけど
たまたま目に入った、大自然に住む動物たちの日常を追った深夜テレビを朝方近くまで見てしまったため、こうゆうことになったのだ。
本当は買い物にでも出かけて、小腹がすいたら甘栗甘にでも行って、まったりとした昼下がりを過ごすはずだった。
全部自分のせい。
軽い二日酔いに、あー、とうめき声が出た。
「すまない、来週提出する資料の整理をしておきたいんだ。」
「それなら私も手伝いますよ。早く終わらせれば、ご飯に…」
「これは歌舞伎揚げ達とは別件の任務で、これから他の部隊に行かないといけないんだ。
今日は難しい、本当にすまない」
勇気を出してシノ先輩をご飯に誘ったんだ。
でも結果は断られた。
シノ先輩の忍術の柔軟さゆえ、他の部隊に参加することが多くて、ここ最近はとくにひっぱりだこだったと思う。
でも、明日はお互い休みだったし
今日を逃したら私自身も任務で忙しくなるし…
時間を忘れて2人でご飯が楽しめると思ったんだ。
断られることも覚悟はしてたし、しょうがないと思うけど。
やっぱり残念だったな。
「顔、めっちゃむくんでる」
洗面に化粧の濁った水が流れていく。鏡には不細工にむくんだ自分の顔が。
ため息をついても、顔のむくみは取れるわけもなく。
でも顔を洗ったことで、少しだけ気分は変わったように思えた。
うだうだしているうちに、日は落ちて部屋の中は真っ暗になっていた。
こんな顔だけど、夕飯を作ることのめんどくささが勝ってしまい
近くで惣菜を買ってすませようと、すっぴんのまま外へ出た。
いわゆる女子力が高い子っていうのは、こうゆうちょっとした買い物でも
化粧をして身なりを整えて、好きな人に会っても恥ずかしくない姿を心がけるんだろうな
とかぼんやり考えだしたら、シノ先輩の顔が浮かんできて。
立ち止まって、ポケットを漁ったら、た ま た まリップが入っていたので、
さっと塗って再び歩き出した。
た ま た まポケットにリップが入っているなんて、私もまだまだ女捨ててないなと自分を褒めつつも
普段のメイクとは違うから、もしも、もしもシノ先輩とばったり会ったら、やっぱり恥ずかしいかなと思ったり。
気分は落ち込んでいたはずなのに、シノ先輩のことを思うと顔がニヤけそうになる。
と同時に、昨日断られたショックが蘇ってきて、胸がからっぽになるような感覚になる。
ずっと、その繰り返しだ。
断られたけどめげないとか、どうゆうタイミングで誘ったらベストなのかとか
早く会いたいとか、ぐるぐる考えていたら、お腹がぐーと鳴った。