好きな子を振り向かせたくて他の女の子と付き合っては別れてを繰り返すガチ恋が下手くそすぎる萩原と、そんな萩原に恋してるけど絶対に叶わない恋だと思ってる香澄ちゃんと、どっちの気持ちも分かった上で「お前らさっさと付き合えよ」と思いながら甲斐甲斐しくフォローに奔走する松田の話。
「俺彼女と帰るから。また明日!」って手を振って帰っていく萩原を「おー、じゃあな」「うん、また明日」って見送った松田と香澄ちゃん。女の子と歩く萩原を見て「また彼女変わってんな」って言う松田に「…そうだねぇ」って苦笑いの香澄ちゃんがいるから「んな顔するくらいならさっさと告って振られろ」ってげんなり。
「やだよ。振られたら絶対立ち直れないもん」って泣きそうな顔で笑う香澄ちゃんに「まあハギの好きな奴はお前だから、振られるなんて有り得ねぇけど」とは言えなくて「ふぅん。あっそ」って返すだけ。
「……私が、幼馴染じゃなかったら付き合ってくれたかな」って俯く香澄ちゃんの頭をわしゃわしゃ撫でて「幼馴染じゃなきゃ出来ねーこともあんだろ。何卑屈になってんだよ」って慰めてあげる松田がいる。
「陣平のこと好きになってたら良かったかな」って笑う香澄ちゃんに「無理。千速にしか興味ねぇ」って即答で松田が返して「あはは!知ってる!」って二人で笑って家まで帰るんだよね。
その夜に「……で?何しに来たんだよ」って松田の部屋のベッドで項垂れる萩原に嫌そうな顔の松田が尋ねれば「べつに」って返ってくる。全然別にって声じゃないからため息を吐いてから「アイツさぁ、俺のこと好きになってたら良かったって言ってたぞ」ってニヤッと笑えば萩原がガバリと体を起こす。
「は?」って怖い顔をする萩原に「あとお前と幼馴染じゃなきゃ良かったとかも言ってたな」って追撃をすれば「……なんだよ、それ」って眉間に皺を寄せて悔しそうな顔をするから「そんな顔すんのに、何で告らねぇんだよ」って再びため息。「振られんの分かってて、告れるかよ」ってベッドの上で胡座をかいた萩原がぷいっとそっぽを向くから思わず目を丸くしちゃう。
「お前らマジめんどくせぇな…」って呟いてから「香澄にも言ったけど幼馴染じゃなきゃできねーこともあるだろ。同じ理由でお互い距離取ってバカじゃねーの。いい加減男見せろよ、ハギ」って松田が萩原の背中をバシーンッ!って思い切り叩いて叱咤すれば目を丸くした萩原が「は?同じ理由…って、」って目をぱちぱち瞬かせる。
「振られんのが怖いから告らねぇとか、俺の前でよく言えんなお前ら」って舌打ちをした松田が萩原を部屋から追い出す。「くっ付くまで出禁」って萩原のお尻を思い切り蹴り上げて「根性見せろよ、色男」ってニヤッと松田が笑うの。
幼馴染だから出来ること。つまりは香澄ちゃんの親とも知った仲で突然の夜の訪問ですら何の問題も無いということ。むしろ「あら研二くん、どうしたの?香澄に用事?」なんて言いながら歓迎してくれる香澄ちゃんのお母さんに「すいません、こんな時間に」って言いながら香澄ちゃんのお部屋に行く。
「……香澄」って声をかければ「えっ、研二!?な、なんで、」ってびっくりした顔の香澄ちゃんが扉を開けるから「…入っていい?」って言えば「う、うん…」って戸惑いながら香澄ちゃんが萩原を部屋に入れる。
「あの、さ」って萩原にしては珍しく視線を彷徨わせながら言葉を探すように口をぱくぱくと開いたり閉じたりさせるから「う、うん…」って香澄ちゃんも釣られて緊張しちゃう。「振られるの、怖くて告んないって、ほんと?」って聞かれて目を丸くしながら「そ、それ、誰から…まさか、陣平!?」って言えば「…うん。さっき聞いた」って言われて一気に顔が熱くなる。
そんな香澄ちゃんの顔を見てきゅっと眉間に皺を寄せた萩原が「お前が、そんな顔する相手って誰」って手を握ってくるから香澄ちゃんの心臓がバクバクと音を立てる。
「お前がそんな顔するの、俺だけだと思ってたのに、違うの」ってさらに強く手を握られて「…研二?」って恐る恐る名前を呼んで俯いたままの萩原の顔を覗き込めば「すきだよ、香澄」って告白される。
「ぅえっ、!?」ってびっくりすれば「今も昔も、香澄しか好きじゃない」ってぎゅううって手を握り締められて逃げられない。「ぇ…っ、え、…っ、!?」って困惑してたら「香澄は、俺のこと好きじゃない?」ってしょんぼり眉を下げながら聞かれて、ぎゅっと目を瞑りながら「す、すき、すきだよ、研二のこと、」って震える声で返す。
「……ほんと?嘘じゃない?」って萩原がぐっと距離を詰めてくるから「ほ、ほんと…!嘘じゃない…!〜〜ッ近い!」って半泣きで後ずさろうとするけど逃げられない。「ぎゅってしていい?」って言われて「だめ…!」って言ったのに「おれもだめ」って言われて、そのままぎゅうって抱き締められて香澄ちゃんはキャパオーバー寸前。
萩原もぎゅってしたは良いものの頭ぐるぐるしててこの後どうしたらいいんですか!?ってなってて、しばらく二人でそのまま固まってる。