痛いかもしれない、と思った瞬間にじわじわと鈍い痛みが香澄ちゃんの下腹部に広がる。お腹を押さえてソファに体を横たえるけれど、痛みは強くなるばかりで体を丸くして耐えている内に眠ってしまったようで、目を覚ましたら「大丈夫?」って萩原が心配そうに香澄ちゃんの顔を覗き込んでくる。
「お、かえり」って小さな声で言えば「ん、ただいま」って緩く微笑んだ萩原がちゅっと額にキスを落とす。それから前髪を払うように指先で香澄ちゃんの額を撫でて「顔真っ青だよ」って眉を寄せるから「へーき、ねてたらなおるから」ってへにゃりと笑えば、萩原の表情が益々険しくなる。
「そういう問題じゃないでしょ」って言いながら腰をさすってくれる萩原に「ごめんね、」って謝れば「香澄ちゃんは、なんにも悪いことしてないでしょ」って笑った萩原がもう片方の手で頬を撫でる。
「寒くない?」って聞いてくれる萩原に「だいじょうぶ」って返せば「何か欲しいものある?あったかい飲み物とか、持ってこようか?」って痛みに耐えるように眉を下げるから「ふふっ」って香澄ちゃんが笑っちゃう。
「けんじくんまでおなかいたくなっちゃったの?」って笑いながら聞く香澄ちゃんに「…だって、香澄ちゃんがこんなに痛そうにしてるのに、俺なんにも出来ないんだもん」って小さな声で萩原が返すから、香澄ちゃんが萩原に手を伸ばして頬をするりと撫でる。
「けんじくんがそばにいてくれるの、あったかくて、ほっとするの。だから、いいの」ってふんわり微笑んだ香澄ちゃんが「けんじくん、ちゅーして」って目を閉じれば「了解。お姫様」って笑ってキスをしてくれるから、ちょっとだけ痛みから意識が逸れるよね。