新入り
荒い息を吐きながらぐったりと眠りかける。
横に寝転がって抱きしめてやれば、擦り寄ってきた。
初めは慣れねぇし、疲れも結構来るだろうしな…
昨日と今日だけでも色んなことがありすぎた。
ゆっくり寝て、その身を休ませな…


ぼんやりと目を覚ませば、黒無常さまの胸板がまず目に飛び込んだ。
ビックリして顔が真っ赤になり、混乱する。
……あ、そう言えば…黒無常さまに抱かれたんだ…
行為中の姿を思い出して、また顔が熱くなる。

(…あんな大きな鎌を振れるほどなんだから……凄く…逞しいな…)

そっと胸板に手を添えて、お腹の方へと指をなぞる。
筋肉質な凹凸を指に感じる。

「……ふっ…こそばゆいな…」
「…!」
「よ…起きたか、今はまだ昼前だ…腹減ったよな?」
「………」
「何だ?恥ずかしいか?ん…?さっきのみこ、すっげぇ可愛かったぞ…?」
「も、もう…やめてください…っ。」
「フッ………よし、シャワー浴びたらギルドへ行くぞ。」
「ギルド…?黒無常さまの率いる傭兵団に、ですか?」
「ああ、俺の嫁になるんだから当たり前だろ?大丈夫だ、友好的な奴もいくらかはいる。」

汗だくになってしまったのをシャワーで洗い落とし、準備を整える。
ここから歩いて行ける距離らしい。
隣のちょっと後ろを歩く。

「どした?もっとこっち来いよ。」
「……」
「照れるなって!手、繋ぐか?」
「い、いえ…!あ、あの……腕組んでもいいですか…?」
「おう、好きにしろ。ほらっ。」

抱きつきやすいように腕を少し出したのを、そうっとくっつく。
さっきから黒無常さまは、私の歩幅に合わせてくれていることに気づいた。
ギルドがどんな場所なのかという楽しみと、黒無常さまと腕を組んで歩いていることにドキドキが止まらない。

「みこは俺の秘書になってもらおうかな。後はたまに給仕してもらったりとか?」
「秘書って何をすれば良いんですか?」
「んー…さぁ?あ、そういえば飯は作れるのか?」
「一応…じいやに習って…」
「そっか!じゃあ…明日から嫁の手料理食わせてもらおうかな〜!」
「…!」
「俺も料理できるんだぞ?それとも旦那の飯食ってみたいか?」
「え…黒無常さまって料理できるんですか!」
「意外だろ?実はできるんだなぁ。」
「食べてみたい…かも…」
「クスクス……じゃあ明日だけは歓迎に作ってやるよ。」
「ありがとうございます…!……黒無常さま……好き、です。」
「…!……あぁ、俺も好きだ。」
10/10
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