第二
触れただけで、すぐに離れてしまった…

「も、もっとしてほしい…」
「俺も我慢してたから…でも部屋に戻って寝る。」
「………」
「俺は隊員達に公表しても構わないと思っているぞ。ミコは?」
「……や、やっぱり恥ずかしいし……」
「じゃあ大隊長に頼んで言ってもらおうか?」
「それはもっと恥ずかしいよう!」
「俺は正直、堂々と触れ合いたいんだが。」
「………」

第八の人は冷やかしたりなんてしないって、分かってるのだけど…
だけど、やっぱり勇気が足りない!
私がずっと言い渋ってるから、お互い寂しい思いをしてしまっているのも分かってる。
でも火縄は私が決心できるまで決して言うことも、そんな素振りもしないでくれている。

「おやすみ、ミコ。また明日。」
「おやすみなさい…」

おでこにおやすみのキスをして、部屋に戻ってしまった。
布団に再び潜っても、もやもやしてしまって全然寝付けなかった。
桜備兄に…相談してみようかな…
火縄と付き合えば良いのにって背中を押してくれたのも桜備兄だし……

翌日、昼休憩前に桜備兄の元に立ち寄る。
いつも通り筋トレをしながら、近づいた私に微笑みかけ促す。

「ねぇ…桜備兄、一緒にご飯食べに行かない?」
「お、珍しいな。もちろん良いぞ!」
「良いなー、私もミコとご飯食べたい…」
「タマキちゃんごめんね、今日は二人で相談したいことがあるから…」
「相談?…まぁそれなら仕方ないわね。今度は頼むわよ!」
「うん、もちろん。」
(ミコが相談か…火縄とのことかな…)


桜備兄行きつけのラーメン屋のカウンターに並んで座る。
それぞれの目の前に出来たてのラーメンが置かれ、頂きますと手を合わせてから食べる。

「……それで、相談って何だ?」
「うん………あのね…火縄とのことなのだけど…」
「んー、結婚の話なら俺は反発するぞ。可愛い妹のミコがもう嫁入り」
「ち、違うよ!!!」
「…何だ、違うのか…」
「その…火縄と付き合ってること知ってるの桜備兄だけでしょ?」
(薄々勘づかれている事は黙っておこう…)
「だからさ…こう…火華さんがシンラくんを贔屓してるみたいに私も堂々と火縄と…その…」
「その方が良いと思うぞ。目の前にいるのに我慢ばっかじゃしんどいだろ。」
「うん…でもね……皆に公表する勇気がないの……」
「…昔からそういう所あるよなぁ…いい所でもあるんだけどさ。」

「ちょっ…見えない!」
「あのお二人…何をお話しているんでしょうか…」
「私はあの二人付き合ってると思うのよ。」
「えっ?!あの二人が…?!……義兄妹の恋…!キャ-ッ!」
「また出た…茉希のお花乙女畑…」
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