おにぎり噺
生存確認用。おにぎりの噺はしません
おにぎり根多帳2019/05/06 22:40
護衛の金吾とお姫様
護衛成長金吾と落城寸前の城のお姫様
三日月城の姫=あなた(**)
金吾は忍術と剣術を買われて三日月城の姫の護衛に。そしてあなたは三日月城の姫です。三日月城は落城間近の城。あなたは城が落ちる前に同盟国である朔月城の領内へと亡命中の旅に出ておりまして、この話はその道中のことでございます。
「**様、こちらです」
夕暮れの小雨が降る中、朔月城目指して山越えをする金吾と**は山小屋の中に逃げるようにして入る。そこは誰も使われていない小屋のようだった。夜の近付く中、この雨の中で雷でも落ちたら危険であると金吾はこれ以上の移動は無理だろうと考えた。
金吾はちらりと小汚ない袴姿に傘を被った姫をみやる。三日月城を出て二日目。明日にはなんとか朔月城には着くだろうと生き延びる見通しができたというのに、**の表情は浮かない。
(当然か、三日月城の城主や奥方様も皆・・・)
おそらくもう落城しているかもしれないと金吾は思う。**の両親も討たれている可能性は高い。そんな中、毅然としていろというには、まだ若い姫には辛いだろうと金吾は思った。
「**様、お腹空いておりませんか?・・・といえど、干し肉と水ぐらいしか用意できませんが」
「・・・・・・いらない」
二日間、彼女は水しか口にしていない。そろそろ何か食べないと体力をなくして倒れてしまうだろう。金吾は**の側により、だらりと座る彼女の傘をそっと外した。
「・・・このままじゃ倒れてしまいます。お召し上がりください」
「じゃぁ、私はここで倒れた方がいい。私は・・・別に生き延びたくないもん」
「何をおっしゃいますか!たしかに三日月城は落城しましたが、こうして我々が亡命するのは諦めないだめです!国を立て直すために、我々は朔月城へと行くんですよ」
金吾は三日月城をでる前に城主に託された言葉を思い出す。まっすぐな瞳で「娘を頼む」と一言だけ告げたあの眼差しが忘れられない。
「国がなんだっていうのよ!私は・・・もう苦しい思いは嫌だもの。お城のお姫様なんて、何も良いことなんて無いわ・・・いっそ、死んでしまった方が・・・」
「やめてください。城主がお嘆きになります。それに、私も」
「金吾も?」
**は涙を流し潤んだ瞳を金吾に向けた。金吾は汚れてしまった手拭いをはたき、そっと**の頬へとやった。
「はい。僕は昔から剣士に憧れていて・・・実は夢は剣士になってお姫様を守る事だったんです。だから、この三日月城に勤めて**様のお側にいて・・・夢がかなってとても誇らしかった」
金吾が言ったことは嘘ではなかった。忍術と剣術を学ぶ傍ら、城の剣士というのは憧れていたし、刀を持つなら誰かを守りたいと常に思っていた。三日月城の調査兼、姫の護衛を頼まれたときは心が躍るような、わき上がるような熱があった。
「お姫様って、私なんかでもよかったの?ほら、私、姫様らしくないでしょ?気が荒いし男性相手でも喧嘩しちゃうのよ?」
「ふふ、そうですね。初めは驚きました・・・でも、**様は私にとって貴女が唯一の、姫様ですから。**様は必ず私がお守りします。この、自分の役目を全うするために」
金吾に微笑まれて**は急に恥ずかしくなった。一国の姫だというのにその責任から逃れようとしたこと、金吾は命がけで自分を守ろうとしているというのに子供のようにぐずっている自分が恥ずかしかったのだ。
**は目を覚ますように自分の頬を軽く叩いた。しっかりせねばならない。命からがら自分を逃してくれた父と、守ってくれる金吾のために必ず朔月城へいくつもりだ。悩むのはその後でもいい。
「今はがんばんなきゃ!」
「その調子です**様!ファイッ!」
「よーし、ごはん食べる!」
「はい!」
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