おにぎり噺
生存確認用。おにぎりの噺はしません
おにぎり根多帳2019/06/07 20:58
成長六年乱太郎
六年成長の乱太郎
あなた=**
「乱にーちゃん!」
**は久々に帰ってきた人物に抱きつく。乱にーちゃんとは**が小さかった頃から兄代わりに仲良くしていた乱太郎のことである。
「**ちゃん、久しぶり。元気にしてた?」
乱太郎が忍術学園に通って六年目。15歳になって元服も終えた乱太郎、そして**はやっと11歳になったばかりだった。
**は乱太郎達の住む農村の、やはり農家の生まれだったが両親は畑仕事で忙しく、幼い**をなかなかかまってもらえないことも多かった。その時乱太郎がやって来て、村を探検したり、一緒に農作業をしたりと正に兄のように慕っていたのだ。
「乱にーちゃん忍術学園はやすみ?」
「うん。だからこの村に帰ってきたんだ。ちょっと見ない間に**、女の子らしくなったね」
乱太郎は笑顔で**の頭を撫でる。**は10歳になってからは徐々に体つきに丸みを帯びてきており、女性らしくなっていっている。
「そーかなー?乱にーちゃんも一気に変わったよね。もう大人の仲間入りだもん!いいなぁ」
「**ははやく大人になりたいの?」
乱太郎がそう聞くと**はぱっと笑顔になった。
「うん!はやく大人になって、乱にーちゃんと結婚するんだ〜」
「そっかー、私と結婚・・・・・・ってー!?**ちゃん私のこと好きなの!?」
**の発言になぜかとても驚く乱太郎。**はなぜ乱太郎がそこまでの反応をするのかわからずきょとんと見ていた。
「うん。とーちゃんもかーちゃんもすきだけど、乱にーちゃんが一番好き!」
「**ちゃんのご両親と一緒なんだ・・・」
乱太郎は自分を家族として見ているらしく、ほっとするやら呆れるやら苦笑いした。**は体つきは少し大人っぽくなったものの、まだまだ子どもっぽい部分は多い。まだ友愛か恋愛かなんてわかるはずはないだろう。そう乱太郎は思っていた。
**は乱太郎の隣へ並び二人で田畑の囲む小道を歩く。
「乱にーちゃん、忍術学園を卒業したらどうするの?」
「今のところお城に勤めるつもりだけど」
とはいうものの、六年間忍術を学んできた乱太郎の実力は特に秀でたものもなく、お気楽な性格も相まってかまだ就職先は決まっていない。自分の意思とは反して学級からも「乱太郎は忍者に向いてない」と言われ続けており、心底悩んでいる状況だ。
「お城かぁ。乱にーちゃんすごいや!」
「あはは、まぁ実際どうなるかわかんないよ」
「お城に勤めたら、今よりもっと乱にーちゃんに会えなくなっちゃうのかな」
隣にいた**がしゅんとうなだれる。**にとって、乱太郎は自分の世界の一部だ。自分とは違って、先に大人になってしまった彼に子ども扱いされているのは**も気づいていた。しかし、**は乱太郎に特別視されたかった。それは**の思春期のようなもので、大人の一歩にもみえた。
しかし、乱太郎はまだまだ子どもだと決めつけており、その変化を見つけることはできなかった。
「ほんとはね、毎日会いたいよ。乱にーちゃんに朝も昼も夜も・・・」
「そんなにずっとは遊べないよ」
乱太郎はあくまで自分は遊び相手だと思っているようだ。**はこの気持ちはなんなのか、どう伝えればいいのかわからない。
「・・・違うよ。遊ぶんじゃなくて・・・んと、よくわかんない。なんか、寂しくなってきたよ」
乱太郎に会えて嬉しいというのに話すほど胸は縮んでいくように苦しい。大人になればこの気持ちもわかるだろうか。
「乱にーちゃん、好き」
「うん。私も、だよ」
乱太郎はいつものように答える。その返事に、いつもなら喜ぶはずがなぜか今日はモヤモヤとする気持ちになるのだった。
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