山田利吉×土井半助 Unofficial Fan fiction


◯利吉の初めて の段


「利吉くん、朝だよ!」

半助が目を覚ますと、いつもは自分よりも大層早起きな利吉がまだ布団の中にいた。めずらしいなと思い声をかけると、頭までかぶっていた御衣の中から利吉がひょっこりと目を覗かせた。

「おはよう!いつもは私よりも早起きなのに珍しい…ね…」

その瞳には涙がいっぱい溜まっていて、今にも零れてしまいそう…ちらっと見える頬もりんごのように赤く染まっている…

「もしかして具合が悪いかい?!」

半助はすぐさま利吉のおでこにおでこをくっつけた。

熱い…

「大丈夫かい?!」

弱った…

伝蔵はいつもの如く忍術学園勤めで、奥方も昨日から出かけていて今日の夕方まで戻らないことになっている。だから絶賛2人でお留守番中なのだ。半助がどうしようと慌ていると、利吉は真っ赤な顔を再び御衣の中に隠した。体をぎゅっと縮こませて、しきりにお腹の辺りで手をまごつかせている。

「おなかが痛いのかい?」

半助は御衣越しに利吉の背に手を当てた。

「っう…」

苦し気な声が聞こえる。相当痛いのかと半助がさすってやれば、利吉は体をビクつかせた。

「大丈夫かい?」

半助の大層心配気な声が聞こえる。すっかり体調が悪いと思われているようだ。

違うと言わなければ…

本当のことを話さなくてはと思うと、利吉は本当にお腹が痛くなる心地がした。だけどそれよりも、"お兄ちゃん" に背中を撫でられれば撫でられるほどに、身体中がどんどんと熱を集めて…

「んっ」

「苦しいかい?」

半助が背をさすればさするほど、その体は燃えるように熱く、くぐもった息が口を吐く。

「く…ぅ…」

「辛いねぇ…待ってておくれ、すぐに薬を準備するから。いや、医者を連れてくるべきか、なにか病だったら大変だっ」

利吉に呼応するように、半助の声もますます焦ったものになっていく。本当に早く伝えなくては。利吉はグッと意を決すと、重すぎる口を開いた。

「っ…あ…の」

「うん?どうしたんだい?」

「私…」

「して欲しいことがあれば何でも言っておくれ」

「いや、あの…具合が悪いわけではないので…」

「え?!そうなのかい?!でも、おでこ熱かったよ?!」

「それは、えっと、その…」

「ん?」

明らかに具合が悪そうだが…
迷惑をかけまいと無理してしまってるいるのだろうか。何かを言い淀んでる利吉の背をさすりながら、半助は言葉を促した。

「どうしたんだい?言ってごらん?」

「私…あの…」

「うん」

「お…」

「お?」

「お…おねしょしてしまったみたいで…」

「え」

思いもしなかった言葉に半助はポカンと固まった。

「朝起きたら褌が濡れていて…」

利吉の声が震えている。だんだんと聞こえ始める嗚咽に半助はハッとすると、背をさする手を再開させた。

「そうか、それはびっくりしちゃったね」

「ごめんなさい」

「謝らなくていいよ、話してくれてありがとうね」

「もう12歳なのに…」

「そういう日もあるさ!」

大丈夫、大丈夫とあやすが、利吉は堰を切ったように泣きじゃくっている。人一倍真面目でストイックな性格の利吉には失敗がどうしても許せないのだろう。

「それよりも濡れていて気持ちが悪いだろう?綺麗にしよう」

失敗の痕跡は早々に隠滅するに限る。そうすれば自ずと気分も晴れてくるだろう。

「ほら、でておいで」

さすっていた背をとんとんと叩けば、やがて利吉はもぞもぞと御衣から出てきた。しょんぼりといつもより幼く丸まる体を半助はその腕に柔らかく抱きしめた。

「気にしない、気にしない、お父上とお母上には内緒にするから。このことは、利吉くんと私だけの秘密だよ」

「…お兄ちゃんにも見られたくなかった」

「私もね、利吉くんと同い年くらいのときに、厠に間に合わずに失敗してしまったことがあるよ」

「え、そうなんですかっ?」

「うん!だから失敗は利吉くんだけじゃないよ」

半助が背をさすり、時折とんとんと優しく叩けば利吉の気分が凪いでいく。すると、忘れていた体の熱がブワッとぶり返した。

「よしよし、大丈夫だからね」

お兄ちゃんが触れる部分が酷く熱い

「こんなに目を腫らしてしまって。痛いだろう?冷やそうか」

お兄ちゃんの手がそっと目元に触れて、お兄ちゃんが自分を見つめる瞳が甘やかに揺れる。お兄ちゃんの匂いも声も全てが煮えたぎるような熱へと変わっていく。その熱は全身を勢いよく巡って、ある一点にドクドクと溜まり積もっていく

「あの…っ、体を清めてきます…」

「そうだね!まずはさっぱりしておいで」 

利吉は反射的に半助から体を離すと、弥弥発熱していく兆しに逃げるように一目散に風呂場へと走った。

「やっぱりショックは消えないよなぁ…」

半助は走り去った利吉を見送ると早速洗濯にとりかかった。濡れている箇所を確認するが、布団は昨夜敷いたときと同じに真っさらで無事なようだ。脱衣場に行き利吉が脱いだ寝巻を回収するが、こちらも布団と同じ真っさらだった。

「あれ、こっちも綺麗だ」

被害の少なさに首を傾げたが、次に手にした褌で半助は事の真相を悟った。



半助は素早く洗濯を終えると利吉の元へと向かった。あれからずっと風呂場に籠り続ける利吉に、早く"真実" を教えてあげなければ。

「利吉くん?さっぱりできたかい?」

半助が風呂場を除くと、利吉は冷水をはった風呂に頭まで沈んでいる。まさしく"穴があったら入りたい" の体現だろう。

「利吉くん、君はおねしょなんてしていないよ」

「え?」

再び目を覗かせた利吉に半助は屈むと、その腫れぼったくなった瞳と視線を合わせた。

「褌についていたものは、白くてネバネバしていただろう?」

「…はい」

「あれはおしっこじゃないんだよ」

「それじゃあ…」

「この続きは居間に戻ってから教えるよ」

行こう、と半助は利吉の手を引いたが利吉は体をひねらせてその場にとどまった。

「あっ、いやでも…お兄ちゃんは先に戻っていて下さい。私はもう少し、水を浴びてからいきますから…」

「それはそうして冷やしているだけじゃあ治らないよ」

利吉は隠しているつもりだった。お兄ちゃんには決してバレないように…

「ごめんね、ちょっと見えちゃって」

えへへと頬を掻いて笑う半助に、利吉の鼓動はバクバクと音を荒げて体がより一層茹だっていく心地がした。

「それは生理現象なんだから、隠さなくてもいいよ」

それはつい一週間前のこと。昔からよく知る体の現象に突如 "理由" がついた。お兄ちゃんと話をしたり、お兄ちゃんを目で追ったり、お兄ちゃんに触れられると、へのこが熱を持って上を向く。それまでは、人里離れたこの秘境で、へのこが上を向いていようが利吉はとんと気にしたことがなかった。だが、上を向く理由がついてしまった今、それは不意に "恥ずべき事" になってしまった。生まれて初めての甘酸っぱい羞恥に一週間経った今でもどうしたらいいのかわからない。母上に相談するのもなんだかいけない気がするし、父上は家にいないし…お兄ちゃんは…とりあえず、利吉の中の "最重要機密" として心の奥底に隠すことにした。

特にお兄ちゃんだけには絶対に…

「私もよくそうなる。だからそれも利吉くんだけじゃないよ」

なのにバレてしまった…

お兄ちゃんは明るく慰めてくれるが、いたたまれない気持ちが心の奥底からどんどんと溢れてくる。利吉は消化しきれない気持ちを水にぶくぶくと吐き出した。

「それに、それは冷やすだけじゃ良くならないよ」

「…他に治す方法があるんですか?」

「あるよ!この続きも居間に戻ってから教えてあげる。ほら、風邪をひいちゃう前に戻ろ?」

半助にグイッと腕を持ち上げられれば、利吉はもう為す術なく立ち上がった。そのままそろりと風呂から出ると半助が広げた大判の手拭いに大人しく身を預けた。

まるで雨に濡れた子犬のような利吉の体を、半助はふかふかの手拭いで包み込んだ。立派に上を向くそこには触らぬように、ぽんぽんぽんぽんと優しく水気を拭ってやる。

「あ、褌…もしかして洗って下さったんですか…?」

「うん!だからこれ、替えのものを持ってきたんだけど…その様子じゃ苦しいかな?締めるのはやめておこうか」

「…すみません、汚れてしまったものを洗わせてしまって…」

「いいんだよ。利吉くんだっていつも私の褌を洗ってくれるだろう?」

「それは…っお兄ちゃんのは汚れてないし…」

「私が勝手にしたことなんだから気にしないで!」

褌の代わりに半纏をハラリと羽織らせると、半助は今度こそ利吉の手を引いた。利吉は繋ぐ手に新たな熱を感じながら、とぼとぼと歩き出した。



居間につくと利吉はちょこんと正座をした。

「寒くないかい?今、囲炉裏に薪をくべるからね」

「すみません…」

「そんなに畏まらないで、いつも通り楽にしていて」

半助は手拭いと櫛を手に持つと、どこまでも真っ直ぐな利吉の髪に触れた。手拭いで包み、揉み込んでから櫛で丁寧に漉く。

「利吉くん、また大きくなったんじゃない?」

「…そうでしょうか?」

「うん!成長真っ盛りだものね!利吉くんは、日に日に大きくなっていっているよ」

半助のいつもの手付きに張り詰めていた利吉の心がじんわりと温められていく。バクバクと暴れ狂っていた鼓動も、徐々に落ち着きを取り戻していった。

利吉の髪がほわほわと揺れ、ゆったりした時間が仄かに流れ始めた頃、半助は穏やかな口調で話を始めた。

「今朝、褌についていたものはね」

「…はい」

「あれは性液というものなんだ」

「性液?」

「そう。あれを女の人の胎内へ注ぐと赤子ができる」

「?!」

突如降ってきた思いつきもしなかった話に、利吉は目を見開くと勢いよく半助の方へ振り返った。

「性液が出るようになったということは、利吉くんの身体が赤子を作れるようになったということ」

「私が赤子を…?」

「そう。つまり、利吉くんが成長をして大人へと一歩近づいたということなんだ。だからこれは、とってもおめでたいことなんだよ」

今日初めてまともに見たお兄ちゃんの顔はとても晴れやかで、それはまるで利吉の頭上に果てしない青空がどこまでも広がったみたいだ。だけどそのあまりの壮大さに実感も想像も湧かずポカンとしていると、半助の手が伸びて乾いたばかりの利吉の髪を撫でた。

「利吉くん!おめでとう!ここまでよく成長したね!」

半助は、満面の笑顔で今ここにいない伝蔵と奥方の分まで利吉に祝福を贈った。成長の喜びを目一杯に伝えるべく、触れる手でありったけの愛を注いで、利吉の心身にその尊さを教え込む。

「性液は、いつか利吉くんが心から愛する人と出会ったとき、その人と愛し合った証、赤子を授かるためのもの。新たな命の元となるものなのだから決して汚いものではないし恥ずかしいものでもないんだ」

それから半助による "性" の授業が始まった。閨事や赤子が出来て産まれるまでの事、そして赤子は "命" だと言う事。最後の事柄は殊更熱誠を込めて教えられた。

「赤子は利吉くんや私と同じ"人間"だ。一人の人間を養い、立派に育て上げるには相当の労力を要する。その苦労と、一人の人間の命を一生涯背負い続ける覚悟がないのなら、絶対に子どもを作ってはいけないよ」

今し方とは打って変わって、半助のこの上なく真剣な表情に利吉も半助の目を見て真摯に教えを聞いた。

「はい」

真っ直ぐに返事をすると、半助も利吉の目を真っ直ぐに見て利吉の心の奥の奥まで届くように再度念を押す。

「わかったかい?」

「はい」

利吉がもう一度頷くと、半助は漸く顔に笑顔を戻した。

「だけど、性液が体内に溜まり過ぎてしまうと、ムズムズしてしまったり、寝ているときに意図せずに出てしまうことがある。それが今朝、利吉くんがおねしょだと思ったものの正体だよ」

半助は利吉の下半身へと目を移すと、その兆しを指差した。

「利吉くんの体に起こるその現象は、利吉くんの体が溜まった性液を外に出したがっている合図なんだ。放っておいても治ることがほとんどだけど、苦しかったり、なかなか治らない場合はおしっこと同じように外に出してあげる必要がある」

利吉が三たび顔を赤らめて下を向くと、半助はよいしょと立ち上がった。

「でも、おしっこみたいにお腹に力をいれるだけじゃ出てこないから、今からその出し方を教えるね」

そのまま廊下まで歩み出ると襖をパタリと閉める。

「1人の方が落ち着いて出せると思うから、私はここから教えるね。言うとおりにやってごらん」

「はい」

利吉が先ほどのように堅気に返事をすると、半助のクスリと笑う声が聞こえた。

「まずは大きく深呼吸をしようか。はい吸ってー」

「吐いてー」

「もう一度吸ってー」

「吐いてー」

半助の声に合わせて何度か深呼吸を繰り返すと、利吉の力んでいた体が自然と解れていく。

「よし、それじゃあ足を崩して楽に座って」

半助の声に従い利吉は正座から足を崩すと、もう一度ふぅと深く息を吐き出した。

「座れたかな?そうしたらまずは、優しくへのこを握ってみようか」

言われた通りに上を向くへのこを力を入れずに握ってみる。

「握ったら、ゆっくり手を上下に動かしてみて」

ぎこちない手を上下に動かしてみるが、へのこがペタペタしているせいでどうも動かしにくい…

「どうだい?何か感じるかい?」

「特には…」

「弱すぎたのかな?もう少しだけ強く握ってみようか」

ギュッと力を入れて強く動かしてみるが、今度は摩擦が加わってちょっと痛い…

「どうだい?」

「うーん、ちょっと痛いです」

「今度は強すぎたのかな?利吉くんが気持ち良いと思う力加減で撫でてごらん?」

再度力を抜いてへのこを撫でてみる。だけど "気持ち良い" がわからずに利吉は首を傾げた。

「気持ち良くないかい?」

「うーん…よくわかんないです…」

せっかく教えていただいてるのに…

申し訳なさが利吉をさらに追い詰める。だけどそれすらも見透かして、隔たりの向こうから殊更優しい声が聞こえた。

「利吉くん、焦らなくて大丈夫だよ。それに、これはくつろぎながら行うのが一番なんだ。うーん、そうだな…あ!皮は剥けてる?」

「皮?」

「えっと、へのこの先の方は皮を被っていないかい?」

「え?これ剥けるんですか?」

「うん、へのこの付け根あたりを握って下に動かしてみて」

「いっ…」

「痛いかい?」

「…はい」

だけどやっぱり何が何だかよくわからなくて、お兄ちゃんに言われたことが出来ないことが悔しい。力加減がわからず擦っていたせいか、へのこが赤くなってひりひりと痛む。三たび滲んだ涙を拭って利吉が思わず声を震わせると、黙って何か考える素振りをしていた半助が淡々と次の案を切り出した。

「試しに一度私が利吉くんのへのこを触ってみてもいいかい?」

「え?!お兄ちゃんが?!」

「やっぱり嫌かな?」

利吉も少し考えた。それは顔から火が吹くほど恥ずかしい。

だけど…

「お兄ちゃんが嫌でなければ…」

「私は全然良いけど、利吉くんこそ無理はしなくていいよ?」

「恥ずかしいけど…お兄ちゃんとはいつも一緒に湯浴みしていますし…」

「そっか、ありがとう!それじゃあ失礼するよ」

襖を開けて半助が居間に入ると、利吉は真っ赤な顔で鼻を啜りながら半助が言った通りにへのこを握っていた。

「私には恥ずかしがらなくていいからね。私も普通にしていることだからね」

半助は利吉のすぐ後ろにあぐらをかいて座ると、自分の膝をポンポン叩きながら利吉を呼んだ。

「ここへおいで」

そこは本を読んだり、遊んだりするときに座る利吉の大好きな特等席。

だけど今日はそこで…

よろつきながら立ち上がった利吉を半助はしっかり支えると、ゆっくりと自身の脚の間へと腰を落ち着けさせた。いつも通りに柔らかく抱きしめて、いつもとは違い何も身につけていない下半身を覗く。

「ああ、こんなに張り詰めていたら痛いね」

「ごめんなさい…」

「謝ることはなにもないよ。よしよし」

利吉が半助の腕をぎゅっと握ると、半助はにこりと笑って空いている手のひらで利吉のお腹を撫でた。

「少し触ってみるよ。痛かったり、気持ち悪かったら我慢せずに言っておくれ。すぐにやめるからね」

そう何度も繰り返し言い聞かせて、半助は利吉のそこに指を絡ませた。

「利吉くん、好きな人はいる?」

「お兄ちゃん」

利吉はしまったと思った。
たくさん泣いたせいで霧がかった思考回路、更にいつものように抱っこされている安心感と非日常のドキドキ感も加わって、なにも考えられない。

直情的に答えてしまった…

「ふふっ、ありがとう。私も利吉くんが大好きだよ!」

だけど…

またクスリと笑って、お兄ちゃんの顔をしたまま。

「前に街に行った時に見かけた女の子で、気になる子とかいなかった?可愛いなと思った子とか、綺麗だなって思った子とか…」

女の子なんてとんと興味がない。利吉が興味があるのは…"お兄ちゃん"。可愛いなと思うのも"お兄ちゃん"。綺麗だなと思うのも"お兄ちゃん"。だけどこれを言っても、お兄ちゃんは、どうせまたお兄ちゃんの顔しかしないのだろう。

その顔に、いつもは安心するけれど…

「その女の子が今、利吉くんのへのこを触っていると想像してごらん。そうしたら少しは楽しくなってくるかもしれないよ」

でもその半助の言葉の意味を利吉はすっかり理解していた。

だって、もう、こんなにも…

「っ…」

さっき自分で触ったときには感じなかった、ふわふわした感覚が全身を包み込んで

「ぅ…」

「気持ち悪いかい?やめる?」

「っ…きもちわる…くない」

本当に熱があるんじゃないかって思うほど体が熱い。先ほどお兄ちゃんに「へのこを触ってみてもいいかい?」と聞かれたときからずっと、利吉の胸はひっきりなしにドキドキと高鳴って止まらない。お兄ちゃんが優しくへのこを撫でるたびに、お兄ちゃんが大好きって気持ちが今までにないくらい膨らんで

どうにかなってしまいそう…

「なんかっ」

「なんか?」

「ぴりぴりする」

「痛いかい?」

「んっ…いたくない…なんか…」

胸のドキドキさえも快く感じる。ムズムズもソワソワ全身を巡って、まるで身体ごと感情になったみたいに

「体がふわふわするっ」

「それじゃあ、それがきっと "気持ち良い"だ。その感覚を追いかけてみて」

半助の指が利吉のへのこの裏の筋を、ツツッとなぞる

「ひぅ、なんかそこ、っんぅ」

ゾクゾクとした感覚が背筋をビリビリと流れて、利吉の口から出したことない声が次から次へと漏れる。

いやだ聞かれたくない…

自分の声を気持ち悪いと感じたことも生まれて初めてだ。これ以上この声が漏れてしまわないように、利吉は力が抜けた手で一生懸命に口を覆った。

「声出してごらん」

半助が、利吉の左耳にそっと囁く

「ひぅ」

「声出した方がもっと気持ち良いよ」

ひゅっとそこに吐息が流し込まれれば、あっけなく利吉の手が宙にぶらりと垂れ下がった。

「くっ、あっ、ン」

「そうそう、いっぱい声出してね」

「んっあぁ!っ…おにいちゃっ…」

「ふふっ、気持ち良いね、利吉くん」

「そこっ」

「ここがいい?」

「そこっ気持ちいっ…あっ」

「よしよし、良い子だね利吉くん。ほら、見えるかな?」

「ふぇ?」

ぽんぽんと下腹部を叩かれて頑張って目を開ければ、霞む視界にお兄ちゃんの笑顔を捉えた。

「こっちこっち」

促されるままにお兄ちゃんの手の先を追えば、お兄ちゃんの手がへのこの下のふぐりを撫でる。

「この中に赤子の元が入っているんだよ」

そこは、ぶつければ涙が出るほど痛いところ。

「だからここを触るときは、優しく優しく、ね!良い子良い子ってしてあげようね」

だけど今日は…

そこをふにふにと揉まれて、キュウッと指の先でひっぱられる。そのあまりに気持ち良さに涙が出た。

大好きなお兄ちゃんの温かな手がゆるゆると触れる刺激も、大好きなお兄ちゃんが自分のへのこを触っている現実も、どうしようもなくクラクラしてしょうがない。

どうしようもなく気持ちが良くて堪らない。

「利吉くん、ほら」

いつもよりも甘さを多量に含んだ声音が

「こうやって、ここの皮をむきむきするんだよ」

ひきりなしに脳から全身へと響きわたって

「ほら、むけた。出てきたところをこちょこちょしてみようか」

あますことなく、とろとろと蕩けていく。

「ほおら、こちょこちょ」

「くっ…ふぅ」

「ふふっ、気持ち良いね、利吉くん」

そのとき、ドクリとお腹の底が波打った。

「っ、おにいちゃ、なんか」

「出そうかい?」

熱いなにか駆け足で込み上げてきて、利吉は必死にこくこくと頷いた。まるで下腹部が煮えてしまうんじゃないかと思うほど熱いそれは、まるで気持ちの良いおしっこのようで

「それじゃあ出してみようか」

本当にここで出してしまって良いのだろうか

「こわい…」

「大丈夫。なんにも怖くないよ。私が全て受け止めるからね」

だけど…

「ここ、お腹におしっこ出すときみたいに力いれてみて」

半助が利吉の下腹部を優しく撫でればもう我慢ができなくて、んっと身体が勝手に力んでしまう。

「そう、良い子、それじゃあいくよ」

今すぐここで、お兄ちゃんの目の前で、熱いものを全部ぶち撒けてしまいたい。

半助は、先ほどよりも少し強めに利吉のパンパンに膨らんだへのこを上下に擦った。

「んぅ」

「がんばれ、がんばれ」

「く、あっ」

先っぽからはこぽこぽと雫が零れて優しい手を汚す。だけどもっともっと出したくてお腹にんんっと力を入れれば、半助もそれを促すように親指の腹でとんとんとそこを撫でた。

「でるかな、でるかな」

ぞわぞわした気持ち良さが全身を包み込んで、利吉のへのこからぷしゅっと熱が弾けた

「おお!でたぁ!」

腰がびくびくと痙攣して、全速力で山を駆け登ったみたいに、はぁはぁと息が切れる。

「よく頑張ったね!」

頭を撫でてくれる手が恋しくて少しだけ晴れた視界で半助を見つめれば、半助の顔も普段よりも赤く見える。半助は利吉の視線に視線を絡めると、腰を折ってちゅっと利吉のおでこに口付けを落とした。

「お疲れ様、利吉くん!気持ちよかったかい?」

再び熱くなる頬をそのままに、こくっと頷けば、またよしよしと頭を撫でられる。暫くされるがままに利吉がはふはふ息を整えていると、ちらっと半助の手につく白く粘るものが見えた。

「これ、私が出したのですか」

「うん、そうだよ」

「これを女の人の中に出すと赤子ができるのですか?」

「うん、不思議だよね」

「じゃあ父上も、母上の中にこれをだして、私が生まれたのですか?」

「う、うん… そういうことだね…」

伝蔵さん、奥方様、すみません…!!!!!

半助は心の中で土下座をした。だがそれが、正真正銘の真実なのだ。たじろぐ半助に利吉も、ふふっと笑みが溢れた。

だけど…

赤子は女の人からしか産まれない。それは知ってる。

だけど…

"いつか利吉くんが心から愛する人と出会ったとき"

私はもう出会ってます。お兄ちゃん…

"その人と愛し合った証"

それは赤子じゃなくてもいいから

利吉は半助にぎゅっと抱きついた。

「お兄ちゃん」

「どうしたの?眠くなっちゃった?」

「お兄ちゃんっ」

「ふふっ、それじゃあ一緒にお昼寝しよっか」

半助が背中を撫でれば、利吉の中で新たな熱が生まれた。

"お兄ちゃんの中に、この熱いものを全部ぶち撒けてしまいたい"


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