山田利吉×土井半助 Unofficial Fan fiction


マッサージが全て終わる頃、半助はすぅすぅと寝息を立てていた。

「寝てしまわれた」

本当はまだ耳に息を吹きかけていないのだが、吹きかけたらきっと半助は起きてしまうだろう。

「土井先生はどうやら耳がとてもお弱いようだ」

その代わり、利吉が半助の耳たぶをもにもにと揉むと、半助はむにゃむにゃと気持ちよさそうに口を動かした。

「可愛らしい」

マッサージをする前に触れた、硬すぎて驚いた耳たぶも今はすっかり、あの頃のようなもちもちの耳たぶに戻っている。

(ここに触れると貴方、目をとろんとされるから)

「愛おしい」

 chu

利吉がそっとそこに口付けを落とす。

「まったく、半助を寝かしおって」

「父上」

いつのまにか開けられていた扉を見ると、息を顰めて伝蔵が佇んでいた。

「手紙ならこの後私が届けに行って差し上げますから。土井先生はこのまま寝かせてあげて下さい」

「いい、手紙は儂が自分で行ってくる」

「6年生の野外演習は?」

利吉の問いに伝蔵が顎で扉の先を指すと、外には夕闇が迫っていた。

(もうそんなに時間が経っていたのか)

「それに半助は眠りが浅いんだ。動かすと起きるぞ」

「そうですね」

(だけど今は)

「よく眠っていらっしゃる」

自分に身体を預けきっている半助に、利吉は瞳を細めた。

「いつまでも私だけの貴方でいて下さい」

そしていつか、私が貴方の全てを喰らい尽くして差し上げますよ

「お兄ちゃん」

 chu

利吉がもう一度その耳に口付けを落とす。
オレンジ色に染まる部屋の片隅で、リップ音が小さく響いた。


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