:家庭教師ヒットマンREBORN!
:沢田綱吉


雨澪さん。不思議な子だと思う。凄く可愛くて、性格も良い。誰にでも優しいし、オレにも気軽に話し掛けてくれる。なのに結構抜けてる所があったり、UFOや霊の存在を信じてて不思議な事に興味津々。
ぽやっとしてるっていうか、天然さは山本と並ぶんじゃないかなぁ。
(以上、ダメダメ少年は語る。)



それはリング争奪戦の真っ只中。久々に陽の光に照らされた並中へ登校したオレは、この数日間の戦いでボロボロになった筈の校舎に傷ひとつ無い事を素直に驚いていた。
しかし彼女は違った。皆が建物に入っていく中、ひとり佇む女子。後ろ姿を見れば分かる。

「おはよう。雨澪さん」

こんな不思議な雰囲気というか、オーラを放つ女子は他になかなか居ないと思う。こんな場所に立ち止まっている理由を振り向いた彼女に問えば、少し考える素振りを見せた後爆弾発言が投下されたのだった。

「沢田君は……不思議と思わない?」
「え?」
「校舎ボロボロなの、不思議だと思わない?なんで皆スルーできるの?穴開いてるのに、危なくないのかな?」
「な……っ!」

一気に質問を浴びせられたオレは、一瞬頭が真っ白になり固まった。
校舎ボロボロって……幻覚利いてない!?どうなってるんだよ!

「ねぇ、沢田君は…………あれ?」
「ごめんっ!」
「あ、待ってよ沢田君!」

雨澪さんが何か言っていたような気もするけど、オレに今できる事はひとつ。全速力で屋上へ向かう事!

「いるんだろリボーン!出てきてよ!」

ばんっと荒々しく屋上の戸を開け叫ぶ。リボーンならきっと何とかしてくれると半ば自棄でその名を呼び続ける。すると突然陰りができ、何かと顔を上げたその瞬間。

「ちょっとは成長したな」
「ぶっ!」

どうやったのか顔面直撃で降ってきたのは探していたリボーン。鼻を押さえて悪態を付いたが、本来の目的を忘れてはいけない。

「リボーン!あの幻覚本当にアテに……」
「雨澪か……」
「……は?」

不吉にもリボーンがいつもより少しトーンを下げた声色で、教えた覚えのない名前を口ずさんだ。どうしてか嫌な予感はさっきから増すばかりだ。

「気に入った。あいつをファミリーに入れるぞ」
「……はぁ!?」

もう今日だけで何度目だろうか。それも思い出せない程に、今日は既に驚き尽くした気がする。
どうやらリボーンは意外にも校舎を元の姿に視せているチェルベッロ機関の術士達の力を認めているらしく、それを見破った雨澪さんの事も過大評価した。

「あいつは貴重な逸材だぞ」

そう言って企んだ笑みを作るリボーンに、オレはグラリと眩暈がするのを押さえられはしなかった。(ああ……逃げて雨澪さん!)


黒の犠牲者ぷらすわん

予鈴が聴こえて渋々教室に戻ったオレを待っていたのか、雨澪さんはオレには見えない大破しているらしい道程を気にしながら、歪に進み近付いてきた。

彼女の先ず最初の台詞からはリボーンという言葉が飛び出した。いつの間にか話をしたらしく、何となくだがこの状況も理解してしまったらしい。意味深な笑みを可愛らしく浮かべた雨澪さんは、更に意味深な言葉を口にした。

「これから宜しくね、ボス!」
「んな……っ!」

何を吹き込まれたのかは、出来ればあまり知りたくないけれど。


執筆2008.01.06.sun
加筆2009.03.07.sat

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