:家庭教師ヒットマンREBORN!
:沢田綱吉 *兄妹


昼にしては遅く夕方にしては早すぎるような、そんな微妙な時間帯。学校から帰ってきたオレは、先程道で別れた憧れの京子ちゃんの事を思い出し幸せに浸っていた。
だからなのかお帰りなさいと母さんが台所から顔を覗かせるまで、いつもと違う小さな違和感に気付かなかった。

「あれ……まだ依泉帰ってないの?」

依泉はオレの双子の妹。いつもならオレが帰ってくると真っ先に自室から階段を駆け降り、必ず笑顔で出迎えてくれるその姿が今日は見当たらない。降りてくる足音も皆無。首を傾げていると、母さんが頬に手を添えて困ったという風にそれがね、と呟いた。

「依泉ちゃんね、何だか様子が変なのよ」

話によるとさっき帰ってきた依泉は無言で部屋に閉じ籠もったらしく。何かあったのかと心配する母さんにオレは様子見を任される。階段を上がった奥、依泉の私室はオレの部屋の隣にある。声をかけノックをすれば、いつもより少しだけ遅く扉が開く。

「綱吉?」

遠慮がちに開いた扉の先は薄暗く、やっぱり何かいつもと違うと実感させられた。まるで何もないようにどうしたの?と聞く依泉を一先ず小突いてやる。母さんが心配してた事を伝えると、意外そうに依泉はキョトン顔をした。

「それで綱吉が様子見に?」
「う……まぁ、そういう事」
「ご苦労様です。母さん心配性だもんね」

少し苦々し気に答えると、依泉はふふっと笑顔を作った。あれ……結構普通かも。

「うーん……でも何かあったら聞くよ?」

やっぱり嫌な事でもあったのか。顔を強張らせた依泉は全然予想していなかった発言をした。

「なんていうか。さっき私……失恋したんだぁ」
「……は?」

失恋?誰が?依泉が?失恋?……依泉って好きな人いたの!?

「あのね、真剣に聞いてね」

思わぬ事実発覚に耳を疑うが、それはまだ早かったようだ。どうやらその相手が仲良く女の子と帰っていたところを目撃して意気消沈してしまったらしい。
相手は誰だろう?思い浮かべたのは女子に人気なオレの友達2人だったけど、一人はそんなガラじゃないし、もう一人はまだ部活だろう。知らない人かな?と頭を悩ませていたオレの考えは、どれも外れだった。

「綱吉の事が、好き」
「え……」

オレはとうとう耳がおかしくなったらしい。実の兄妹に告白なんて……いやいや、ないない。ごめん依泉、悪いけどもう一回言って?

「……ぷっ!」
「わ、笑うなよ!」

かぁっと一瞬にして顔が熱くなる。だって綱吉が……ってオレから言わせれば依泉が変な事言うからだ!
必死に笑いを堪える(堪えきれてないけど)依泉はお腹を抱えながら全く心の籠っていない謝罪をした。

「冗談なのに、綱吉ってば……っはは!」
「……もー知らないからな!」

さすがにこれ以上笑われるのに耐えきれず、母さんに自分でちゃんと謝っとけよ!と言い残したオレは笑いの止まらない依泉の部屋を出る。そのままドタバタと階段を駆け下り母さんの元へ愚痴を兼ねて説明に行ったオレは、扉が閉まった途端室内から笑い声が消えた事に気付きもしなかった。


叶わぬ恋に終止符の兆しを

‐‐‐‐‐‐
兄妹ネタ暗い……!本当の双子は自分の分身みたいに存在が近すぎて“いて当然”だから、お互いを恋愛対象や友達とかには見ないって聞いた気がします。

執筆2008.07.12.sat
加筆2009.05.24.sun

1 / 39 | |

|


OOPARTS