:家庭教師ヒットマンREBORN!
:沢田綱吉


ピンポーン
ベッドに寝転び雑誌を読んだりして、いつものようにゆったりと休日を過ごしていると、突然来訪者を知らせる呼び鈴が耳に届いた。留守番中である私は面倒ながら重い腰を上げ、2階に位置する部屋の窓から玄関先の人物を覗く。そこからは見馴れた髪型髪色が見えて、重かった筈の身体は一気に素早さを取り戻した。
ばたばたと忙しない音を立てながら階段を駆け降りて玄関戸を開ければ、やはりそこには幼馴染みである彼がいた。

「綱吉!どうしたの?」

突然扉が開いたのに驚いたのか、綱吉が一瞬後退する。

「依泉、確認くらいしろよ」
「ちゃんとしたもーん。部屋の窓から」

ガクと綱吉が肩を落とした。それで、綱吉はわざわざどうしたのと促せば(わざわざと言ってもご近所さんだけれど)、綱吉はああ、えぇと、なんてあやふやな言葉ばかりを発し始める。

「こ、これあげる!」

少しの後綱吉はどもりながら手に持っていた子供っぽい、カラフルな立方体を半ば押し付ける様に差し出した。ありがとう!と素直に受け取った時、綱吉がほっとしていたのは見間違いだろうか。

「何が入ってるの?」
「えっと……まぁ、とりあえず開けてみてよ」

綱吉に促され、言葉を濁した事に疑問の欠片も持たずいそいそと箱を開ける。開ければ……

「きゃあっ!」

びよーんと途端箱から飛び出たのは、あっかんべーをした憎たらしい丸顔だった。みるとそれには箱の中からバネが伸びていて。ああいわゆるこれは……びっくり箱というものだ、と私は冷静なようで実際は未だ声にならない言葉から口をパクパクと動かしていただけだった。
錆びたカラクリのようにゆっくりと綱吉の表情を覗くと、悪戯が成功した直後の子供のように、嬉しそうな顔で笑いを堪えている。

「どっどういう事!」
「ごめん、つい……!」

つい?好奇心が働いたとでも言うものか。びっくりした!と主張してみれば、綱吉がもう一度謝罪の言葉を口にした後言い訳タイムが始まった。

「さっきCD買いに行った時に見つけてさ。依泉が好きそうだなって思って……」
「へ……」

あげるついでにおどかせてみたくなりました、と続いた言葉も、その後の沈黙を不思議に思ったらしい呼び掛けも、残念ながら私の耳に微塵も届いてはいなかった。
だって、嬉しい。この年頃なら綱吉といえど好きな女の子だっているだろうに。一番に思い出してくれるのは、他でもない私だったのだ。

「うん、ありがとう綱吉!部屋に飾っとくね!」

突然元気になって頬まで緩んでいるであろう私に、綱吉は呆けていた。そもそも今現在の私の発言は可笑しなもので、おどかされてありがとうも、びっくり箱を部屋に飾るという言葉も普通冷静ならば言う台詞ではない。
そう、冷静なら。
案の定綱吉は悪戯で機嫌の良くなった私を理解なんて出来ないようで、大切に私の手中にある玩具と私を見比べては瞬きを繰り返すのだった。


最高の贈り物

今日一番だろう笑顔を添えて、混乱している綱吉にもう一度ありがとうと言った。


執筆2007.09.15.sat
加筆2008.12.23.tue

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