:D,Gray-man
:ラビ


「ラビ、私の事嫌いでしょ」

近頃は修行だからと言ってひたすらに部屋いっぱいの書物を読み漁っていたラビに、紅茶を持ってくのが私の日課となりつつあった。いつもの様に部屋へ入ればこっちを見向きもしないクセに、一丁前に感謝の言葉だけが返ってくる。そこでいつもなら私は頑張ってを言い残して去る筈なのに、この瞬間からの“いつも”は来なかった。

「好きなんかじゃ、ないでしょ?」

それは冒頭の言葉通り私の仕業で、いつかの日やっとの想いで告白して、アッサリとOKをもらった日にも同じような問答をした気がする。
そんな事を考えながらゆっくりと、錆びたカラクリみたいな動きで顔を上げた私の瞳には、妖しいまでの微笑を浮かべたラビがいた。形の良い唇が、薄く開かれる。

「なんでそんな事聞くんさ。俺は依泉の事好きだぜ?」

慣れているのか余裕なだけか、笑顔を崩さずに言うラビに私はぐっと唇を噛み締めて、ゆっくり解いた。

「嘘だ」
「嘘じゃないって」
「嘘。ラビは私なんて眼中にない、ラビは何時までもブックマンなの。私はラビに不要な……っ!?」

私は目をそらさず、早口にラビの本心を言い当てていた……つもりだった。

「嘘じゃねぇって……」

突然腕を引かれたと思えば、囚われる。

「ラビ……?ねぇ、」
「俺には依泉が必要なんさ。ブックマンがどうとか、今の俺には関係ないし不要なんかじゃない」

哀しそうな声。……でもそれ、演技でしょう?

「依泉が居ねぇと生きてけねぇもん、俺」

あぁ、そうね……

「私もだよ、ラビ」


甘美な嘘が蝕む

嘘でも嬉しいと思ってしまうのは惚れた弱味というもので、ラビが真実を口にするまで、私はこの運命から逃れられないのだと思った。

(ねぇ?もう苦しいのは嫌だよ)


2008.12.08.mon


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