:家庭教師ヒットマンREBORN!
:雲雀恭弥


イタリアへ行く。恭弥の言葉は本当に突然だった。しなくちゃいけない事があるからと言って。でもだからって少なくとも一年はあっちに滞在なんて、それはあまりにも唐突過ぎてもうなんだか信じがたい。
並盛一筋だった恭弥。その彼が今自分から愛する土地を離れようとしている。それも、私を置いて。

反論しようとして私が口を開いても、それより早く恭弥が声を発する。「もう決めた事だから」出発は明日の朝だと平然と言ってのけるが、もうすぐ時刻は夜中の12時を回ろうとしている時に言う事じゃないって、ねえ分かってる?

そうやっていつもいつも恭弥は何でも勝手に決めて行動しようとする。私が文句付ける隙なんて与える気すらない。

「恭弥なんて大っ嫌い!」



「良いんですか、恭さん」

涙混じりに部屋を出た依泉と入れ替わるように草壁が入室する。
泣いていましたよ。控え目に意見するもののいつもより険悪じゃないかと心配する彼も気が気ではない。しかし雲雀の返答は思わしくないものだった。

「人が離れていく事には慣れてる」

草壁に目を向ける事なく雲雀は即答したが、その横顔は決していつも通りの澄まし顔とはいかない。何せ最愛の人に嫌いと言われたのだから当然なのだが、それを理解し気付ける人間はこの気が利く右腕以外に果たしてどれほどいるだろうか。


すれ違う

今度ばかりは連れていける訳がない。
衝突する猶予なんて与えられない、突き放すのが辛くなるのは僕なんだから。


2009.11.07.sat

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