：家庭教師ヒットマンREBORN!
：沢田綱吉（＋１０）
「どこへ行かれるんですかーボス！」
大通りの中ぐんぐんスピードを上げて駆ける。オレを呼ぶ声が人混みをすり抜けて耳に入る。振り向いたら負けだ。
「しつこいなっ！」
理不尽な悪態をつく。もうアジトを出てどれくらい経ったろうか。ふ、と聞こえなくなった呼び声にやっと安堵する。
最近仕事ばかりでろくに外にも出られない生活が続いていた。昔は自分から外に出る事はあまりしなかったけど、こうも毎日縛られるのは勘弁して欲しい。人間リフレッシュがこんなに大事なんて思わなかったよ。誰だデスクワークが楽だなんて言った奴は。
さてようやく追っ手もいなくなったようだし、今日はどこへ行こうか。行きたい所がありすぎて決まらない。
するとそんなタイミングを見計らったかのように携帯が鳴る。先ほどまでオレを追っていた秘書からの着信。しつこいなぁ、とひとつ文句を言う為に通話ボタンを押した。
「依泉、今日は放っといてって、」
「すみません、ボス」
文句を言う前に返ってきたのはいつもと違って元気のない小さな声だった。すぐに切ってやるつもりだったのに、これでは切るに切れない。…いや、でも帰らないから！
「お恥ずかしながら敵に捕まりました」
「………っはぁ！？」
油断した隙になんて爆弾を投下されたのだろう。敵に捕まった？困惑している内に声は低い男に変わり一方的に、返して欲しくばこの場所に一人で来いと指定をされて切られる。最後に脅すような発砲音が聞こえたが、当たってはいないだろう。
虚しく電子音が耳を通る。確か彼女は戦えないはずだ。今のがオレを捕獲する為の小芝居ならどれ程良いだろう。言われなくたって一人で行ってやるさ。
「あぁ、もう！」
あんな人のたくさんいる場所でボスなんて言うから悪いんだ！いや、元を辿ればオレが逃げたせい？いやいや獄寺君とヒバリさんが任務の度に色んな建物の請求書を持って帰ってきたり、リボーンが仕事をどんどん増やすせい。
そう言う事にしといて、とりあえず君はしばらく外出禁止ね。でもやっぱり他の人達が追っ手じゃ容赦なくて身が持たないからオレも当分は真面目にボス業やります。
Don't move,you are under arrest!
馬鹿馬鹿しい題名希望で、動くな、お前を逮捕する！
2009.11.13.fri
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