:家庭教師ヒットマンREBORN!
:沢田綱吉


「昨日気付いたんだけど。私ってね、独占欲強いみたいなの」

依泉がそう言ったのは何でもない普通の休日の昼下がりの事だった。
突然部屋に上がり込んで人のおやつを食い荒らし始めた少女は家が隣の幼馴染み。この感じはもしかしてまた振られたのかなあと4度目位のこの状況に一人思う。

「自由がない感じ。息が詰まってくる感じ、だって。私ってそこまで嫌な奴?」

依泉は可愛い。オレの立場や感情から来る贔屓目なしにしたってそれは学年ベスト3には入る自慢の幼馴染みだ。
そんな訳で言い寄ってくる男は幾らでもいる訳で、なのにどういう訳か誰かと付き合いはじめても決まって振られるのは依泉の方と言うのだからおかしな話だ。どうやら外見以外に若干問題があるらしいが、長らく片想い中であるオレは未だ一つとして依泉の欠点を見つけた事はない。
あえて言うならお人好しが高じて告白を断れないところだろうか。毎度の事ながらこれには参ってしまっている。
きっと皆は外見だけで考えた勝手な理想像を依泉に押し付けているんじゃないか。そんな奴らは別れて正解。ところでいつになったら依泉はオレの気持ちに気付くんだろう。いつになったらオレは自分の気持ちを言うんだろう。ちょっと脱線したけどそれが今のとこオレの考え。

「綱吉はこれだけ私といて疲れない?」
「疲れるならとっくに距離置いてるよ」

嘘偽りない真実。あ、いやでもオレは依泉が好きだから、多少疲れる事があっても変わらないかもしれない。と思ったけど疲れるなら好きになんてならない気がするからやっぱり動かぬ事実だ。

「っ綱吉、だあいすき!」
「はいはい。オレも好きだよ」
「私にはやっぱり綱吉だけだよー。ずっと一緒にいてね?」
「うん。オレも依泉だけだよ」

ごめんな依泉。依泉の言葉とオレの言葉はさっきから噛み合ってないよ。
良い幼馴染みを演じている。でもこれも一つの優しさであり愛情表現だと受け取ってよ、依泉の心を傷付けない為の。ずっと幼馴染みで友達で親友ね!と言って依泉が笑うのなら、それを理由にオレの本心はまだ当分露見されないだろう。だからまだ気付かなくても良いよ。


似た者同士

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似た者同士はある意味で。まあつまりそういう事です。
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2010.06.15.tue

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