:銀魂
:沖田総悟
「笑ったら志道不覚悟で切腹だかんな」
「は?」
ある何でもない陽気な昼下がり。突然の台詞に間抜けな面を下げるのは、勿論言われた張本人である依泉だ。そんな事はお構い無し、寛ぎ体勢の依泉の弱い所を前置きもなしにこしょばしてやった。油断大敵だ。
「、ひゃっあははは!」
間もなく聞こえた笑い声は一女にしては色気がなく、一真選組隊士としては威厳がない。
とは言え、依泉がこれに関して全く弱い事は勿論百も承知の上だ。
「笑いやしたね」
「……あ」
ニヤリ。地面についていた片膝を上げて立ち上がり、にっこりと笑顔を作る。台詞を付けるなら「しまった」しかないような青ざめた顔をした依泉を上から見下ろす。
「あの、隊長待って下さい……本当に切腹って……?」
焦る姿は隊士というより普通の女だ。おまけにさっきの攻撃で潤んだ瞳を向けてきやがる。このアングルは、正直ヤバイ。
「嫌なら、そうだな」
流れる動作で視線を反らし、考えるように顎に手を添える。しかし実際の所は演技でしかなく、全ては計算済みだったりする。
当然こんな経緯で切腹などさせるつもりは毛頭ない。そんな馬鹿な話あるもんか。
「俺と付き合えば許してやりまさァ」
「本気で言ってるんですか?」
「馬鹿野郎」
ぽかん、ぽつり、恐る恐る。今の依泉を説明するならそんなところだろう。
馬鹿なのかお前は。ああ馬鹿なのか。俺がわざわざノリでそんな事言うとでも?
「それならちゃんとした言葉で伝えて下さい」
じゃないと分かりませんね、私馬鹿らしいので。なんてまさか、この俺が形勢逆転を謀られるとは。
「………………好きでさ」
「私も好きです」
にこり、今度は依泉が笑った。なんでアンタはそんな余裕なんだ、畜生。
Just follow your heart and say you love me!
‐‐‐‐‐‐
結構前からほとんどできてたりしたもの。
訳:素直に好きだと言って!
2010.08.10.tue
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